運輸安全委員会は、昨年3月29日に発生したオーストラリアのジェットスターエアウェイズのエンジントラブルによる重大インシデントの調査報告を発表しました。
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該当機となったB787-8型VHVKJは、同社のJQ15便として平成31年3月29日、13時11分ケアンズ空港を離陸し、関西国際空港へ向けて高度4,900m付近を降下中、左エンジンが一時的にアイドル以下に低下し、次いで右エンジンも一時的にアイドル以下に低下し、その後出力が回復し同機は、19時19分関西国際空港に着陸しました。
調査報告によれば、同機が着陸のための降下中に、左右のエンジンの燃料調量に関与するスプールに主にマグネシウム塩で構成される残留物が堆積して動きを妨げられたため、それぞれのエンジンの回転数にオシレーションが発生し、両方のエンジンが完全に同時ではないものの一時的にアイドル以下になったものと推定されるとしています。
画像引用:運輸安全委員会
またスプールに残留物が堆積したことについては、本重大インシデントが発生した飛行の2日前に実施した燃料タンクの殺菌作業時に搭載された殺菌剤の混合比が高い燃料と残燃料がタンク内で十分に混ざらずエンジンに供給されたことによる可能性が考えられるとの見解を明らかにしています。
燃料タンク内に細菌が発生すると、細菌によって燃料タンク内に腐食が発生したり、燃料供給系統に不具合が発生したりする可能性があるため、同機の整備マニュアル(AMM)には、殺菌作業を定期的に実施するように定められていないが、同社は、これらを予防するため、200飛行時間毎に燃料タンク内の細菌の状態を確認し、必要に応じて殺菌作業を実施しています。
なお同種事例については、双発機において左右両方のエンジンが始動できなくなった事例が6件、4発機において全てのエンジンが始動できなくなった事例が1件、エンジンの推力調節ができなくなった事例が1件報告されており、いずれの事例も殺菌作業時に殺菌剤(Kathon FP1.5)の混合比を規定値以上(約1,000ppm)に高くしたことが原因と推定されています。画像引用:Jetstar
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