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JAL、客室乗務員の乗務中の飲酒事案の調査結果を発表 当該客室乗務員は業務歴23年8カ月のベテラン

JAL(日本航空)は、2018年12月17日、JL786便(成田国際空港発、ダニエル・K・イノウエ国際空港(ホノルル)着)に乗務中の客室乗務員から、機内におけるアルコール検査においてアルコール値が検知された事案について、社内調査の結果、機内において飲酒があったものと判断し本日国土交通省に報告したことを発表しました。

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【概要】
当該客室乗務員は、出発前のアルコール検査においては問題はなく最初の食事サービス終了後に、近くにいた他の客室乗務員より当該客室乗務員からアルコール臭がするとの報告が先任客室乗務員に報告があがる。
先任客室乗務員がアルコール感知器にて検査を実施したところ、呼気中から0.15 mg/ℓのアルコール値が検知。その後、約30分程度の時間をおいて再検査を実施したところ、再び基準値を超える0.10mg/ℓのアルコール値が検知。1回目の検査においてアルコール値が検知されてから到着するまでの間、当該客室乗務員には一切の業務に従事させず、ダニエル・K・イノウエ国際空港(ホノルル)到着後に、あらためて別のアルコール感知器を用いて検査を行ったところ、アルコール値は0.00mg/ℓであった。

※2018年5月23日ホノルル発関西行きの機内で男性客室乗務員が休憩中に缶ビールをトイレに持ち込み飲酒したことに対しての措置で客室乗務員にもアルコール検査が適用となっています。参考記事

当該客室乗務員からは、飲酒事実を否定するも、社内調査を実施した結果、以下の事実を総合的に判断し、機内において飲酒があったものと判断したとしています。

【判断根拠】

  • 複数回のアルコール検査の結果、当該乗務員の呼気からアルコールが検知されたこと。
  • 計3名の乗務員が、当該乗務員からアルコールの臭いがした、と証言していること。また、計4名の乗務員が、当該乗務員の様子が通常ではないように感じたと証言していること。
  • 当該乗務員は、2017年11月にも乗務中の飲酒の疑いを指摘されていたこと。
  • 実証実験の結果、マウスウォッシュや摂取した食事が、アルコール検査の結果に影響を及ぼした可能性が認められなかったこと。
  • プレミアムエコノミークラス用のシャンパン(6oz:約170ml)がサービスに使用していないにも関わらず搭載時より1本少なくなっていた。また、MIDギャレー※のごみ箱から空きビンが見つかっていること。

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【当該客室乗務員の経歴】1995年4月入社(業務歴:23年8カ月)

【再発防止策】

  1. 現在実施している対策
    • 事例周知と注意喚起
    • 全客室乗務員を対象とした乗務前のアルコール感知器によるアルコール検査の実施 (12月5日より開始)
    • 全社員対象の「アルコールに関する研修」の実施(12月末終了予定)
    • 上記教育を受けたグループディスカッションの実施(3月末終了予定)
    • 客室本部における「飲酒ケースに起因する健康関連教育」の実施(3月末終了予定)
  2. 今後の対策
    • 業務中の客室乗務員の相互確認において「酒精飲料・薬品」の影響が疑われる場合は、会社に報告することを義務付けるよう社内規定を改定
    • 機内および到着時のアルコール検査の実施(随時)
    • アルコールにまつわる疾病・不祥事があった客室乗務員を組織として把握し、健康管理部と連携して定期的に管理職による状況の確認をする仕組みの構築
    • 管理職1人あたりの乗務員配置数を削減し、配下の乗務員の状況について、よりきめ細かく把握できる体制の構築
    • 年1回の定期安全教育における「アルコールに関する安全意識教育」の実施

上記事案が発生してしまった事は残念ですが、ロンドンでの事案とは異なり組織として機能していたことは唯一の救いかもしれません。

画像引用:JAL facebook

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