2019年6月15日に発生した、スカイマーク機の着陸直前にANA機が滑走路を横断した重大インシデントは管制ミスが原因であると運輸安全委員会が調査結果をまとめました。
この重大インシデントは、スカイマーク機がタワー西席から着陸許可を受けてA滑走路に進入中、ANA機がタワー西席から許可を受けて滑走路を横断したため発生ししました。当時は、訓練生が管制業務を行っており、訓練監督者Aの監督の下OJTが行われていました。
Photo : 運輸安全委員会 A:スカイマーク機、B:ANA機、C:先行到着機
タワー西席がANA機にA滑走路の横断を許可したことについては、訓練監督者Aがスカイマーク機に対する着陸許可に気付かぬまま、訓練生にANA機の滑走路横断を許可するように促したこと、及びスカイマーク機に着陸許可を与えたことを失念していた訓練生が、訓練監督者Aの指示に従ってANA機に横断を許可したことによるものと推定されるとしています。(ANA機が滑走路に進入したときのスカイマーク機との間隔は、約8,400mであったと推定される。)
なお管制官は、管轄する区域を航行中の航空機へ無線交信で指示を出すと同時に、入域機及び出域機について関係席と直通電話や対面で調整しながら業務を行っており、本重大インシデント発生当時、タワー西席は左隣の地上管制席西及び右隣の地上管制席北等と調整しながら業務を行っていたが、訓練監督者Aは、時折、訓練生に代わって他席との調整を行いつつ、OJTを継続していたことも影響し、訓練生がスカイマーク機に送信した着陸許可及びスカイマーク機の復唱は、ヘッドセットを通して耳に入ったはずだが聞けていない状態になっていたとみられています。
このような事から、再発防止策として、訓練監督者が他席と調整しなければならない状況が生じた場合は、OJTを中断し、訓練監督者が管制業務を実施することに変更するなどの対策がとられる事が決まっています。
なおこの重大インシデントは、ICAOの「滑走路誤進入防止マニュアル」に記載されている危険度において、衝突を回避するための十分な時間及び又は距離があったインシデントのCに分類されています。