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退役が加速している巨人機A380の今後の各社の取扱いまとめ【2022年1月16日更新】

 新型コロナウイルスの影響により退役が加速しているA380ですが、その巨大な機体と燃費性能の悪さやにより徐々にオペレーターに敬遠され、新型コロナウイルスによる航空需要の蒸発が決定打となり、同機の退役の加速は留まる所を知りません。既に完全に退役を完了させたエアラインを含め保有オペレーターの同機に対しての今後の扱いをまとめます。

【退役を完了させたエアライン】
◆エールフランス航空(導入機数10機)◆
当初計画の2022年までに段階的に退役させる計画を、新型コロナウイルスの需要減退により、即時退役を決定。既に一部機材は解体済み

エールフランス航空のA380がラストフライトを実施 約11年間で4万フライトを実施し1,800万人を輸送

◆ハイフライ航空(導入機数1機)◆
元シンガポール航空の機材をリース導入し、中古のA380を運航した唯一のエアライン。新型コロナウイルスの需要減退により、リース期間内での返却を決定し、残ったリース期間では一時的な貨物機に改修

ハイフライ航空、A380の運用を終了したことを発表 明日17日にリース元に返却へ

【全機退役を決定・検討もしくは決定的なエアライン】
◆エティハド航空(導入機数10機)◆
同社CEOがA380は商業的に持続可能な航空機ではない、二度と運航することはないだろうと発言公式ホームページからもA380を削除し退役が決定的。しかしながら2021年12月のインタビューで、同社CEOが可能性は低いながらも復帰する可能性が僅かながらあることを明らかにし、現時点では全機保管状態。

エティハド航空CEO、A380が再び復帰する可能性があることを明らかに

◆ルフトハンザドイツ航空(導入機数14機)◆
6年以内の大幅な機材削減計画に含まれ既に退役が決まっている8機に加え全機の退役が決定し後続機にはB747-8を選定。これまで政府の要請に備え一部機材をフランクフルトに駐機させていたが、全機をスペインのテルエル空港などに移送し保管中。今後は路線に再投入する可能性は極めて低いとされており、一時的に復帰するかが注目ポイント。2021年8月に公表した決算時には、『長距離に限ればA380型機は明らかに復帰しないでしょう。』と同社CEOが発言し、復帰は期待できない状況が続いている。なおフランクフルトに保管されていた最終機は翼を振って同空港に別れを告げていった。

ルフトハンザグループ、大幅な機材削減計画を発表 A380・A340は退役へ

◆中国南方航空(導入機数5機)◆
同社の上級役員が、コロナ禍においてA380の運用について見直す必要があるとし、退役を示唆

中国南方航空、A380の早期退役を示唆『需要に対して大きすぎる』

◆マレーシア航空(導入機数6機)◆
2021年5月に同社CEOが数ヵ月内に全機退役させることを明らかに。『A380が将来の計画に適合しないと確信している』とコメント。今年7月には同型機の販売を開始しており、2022年内に売却を完了させる計画としている。ただし、中古市場の価値が著しく低下しているため、売却先が見つかるか不透明な状況。

マレーシア航空、保有する全A380の販売を開始 同機は完全退役へ

◆タイ国際航空(導入機数6機)◆
経営破綻した同社の経営再建計画に同機の全機退役が含まれていることが明らかに。今後再建案が債権者と裁判所に承認されると正式に、退役のスケジュールを組む見通し。

タイ国際航空、再建計画を裁判所に提出 4発機(B747/A380)は退役 従業員の半数を解雇へ

◆カタール航空(導入機数10機)◆
同社CEOが既に保有している10機のうち5機の退役は決まったとし、残る5機についても2~3年以内に退役させることを検討していることを明らかに。最近ではA380の環境性能に問題があるとしているほか、同機を運用するオペレーターに対し過激な発言が目立つ(エミレーツ航空を意識しているみられている) これまで同社CEOは一貫として退役の方針を貫いていたものの、A350型機の運航停止措置の影響を受け、一時的にA380の運用を再開したが、あくまで一時的な措置とみられ、退役させる計画はコロナ以前からあったため継続との見方が有力。

カタール航空CEO、A380の再開はあくまで一時的なものである事を強調

◆大韓航空(導入機数10機)&アシアナ航空(導入機数6機)◆※今後統合予定
両社の統合によりA380の保有機数は、エミレーツ航空に次ぐ規模になる見込みで、統合後A380の運用と投入路線を見直すと大韓航空のウ・ギホン代表取締役社長が明らかに。その後大韓航空のチョ・ウォンテCEOがアシアナ機を含め5年以内に全機退役させる方針を明らかにし、2026年には全機が退役する予定となっている。なお現在全機を地上駐機としているアシアナ航空は、2022年夏ダイヤから同型機の再開を予定している。

アシアナ航空、2022年夏ダイヤよりA380型機の運用を再開へ

【今後も運用を継続する計画のエアライン】
◆エミレーツ航空(導入機数123機※未受領分含)◆
同社CEOが今後20年にわたりA380を運用する意向を示し、今後も同機をフラッグシップとして運用すると明言。既に発注済みの全てのA380の受領を完了しており、今後プレミアムエコノミー搭載機を増やすために機内改修に着手している。

エアバス、最後のA380型機をエミレーツ航空に納入しA380の生産プログラムが完了

◆カンタス航空(導入機数12機)◆
現在アメリカのモハーベ砂漠で全機を長期保管中。アメリカ路線において同機の運用上のメリットがあるとしたほか、ヒースロー空港などの混雑空港でも能力を発揮するとして今後も運用を継続する方針。これまで全機の復帰を計画していたものの、2機の退役を決定し残る10機は復帰を予定。既に1機が復帰しており、2022年内には5機を復帰させ、残る5機については2024年までに復帰させる予定。

カンタス航空、当初スケジュールを前倒しして2022年1月からA380型機の運航を再開へ パイロット不足が影響

◆ブリティッシュエアウェイズ(導入機数12機)◆
同社CEOがヒースロー空港のようなハブ空港の効率性を考えると、A380には将来性があると考えていると発言し、今後の機材運用計画に同機が含まれていることを明らかに。2021年8月には、保有する12機のA380のメンテナンス契約をルフトハンザテクニックと2027年8月まで延長したことを発表し、2021年11月からの同型機の運航を再開し、運航路線を拡大している。

ブリティッシュエアウェイズ、A380での運航都市を更に追加へ

◆シンガポール航空(導入機数24機/保有19機)◆
新型コロナウイルスの影響を受け7機の退役を決定したものの、2021年11月18日からシンガポール~ロンドン線に同機を投入し運用を再開し、投入路線を拡大中。

シンガポール航空、ロンドン線においてA380型機の運用を再開 更に1機が長期保管所が移動

◆ANA(導入機数3機)◆
2021年10月16日に3号機が成田空港にデリバリーされ、ようやく導入予定の3機が揃う。コロナ以前に契約であるものの、2019年9月にサフラン社とA380において10年間のメンテナンス契約(NacelleLife™ support contract)を締結しており、約10年間は運用する計画とみられる。なお国交省がA320とA380の同時定期運航乗務を認めたことから、乗員繰りでの効率性は確保される模様。

ANAのフライングホヌ3号機が本日2021年10月16日に成田空港に到着

 上記のように10社が退役済み、または退役に向けた動きがあり、残る5社が今後も運航を継続する見通しです。世界的にコロナとの共存の方針が定まってきたことで、今後航空需要が回復に向かうと予測されており、これに伴い今後も同型機を運用する方針のエアラインは、運航再開スケジュールの策定に着手し、徐々にスケジュールが明らかになっています。

 また航空業界をはじめ、世界的に環境に配慮する動きが急速に強まっていることから、最新鋭機に比べCO2排出量が多い同型機は、近い将来境遇が悪くなることも考えられ、想定よりも早く退役に追い込まれる可能性も出てきています。

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