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エミレーツ航空のB777-300ER、オーバーランで離陸し住宅地の上空23mを433kmで通過 建造物に激突する可能性のあった重大トラブルの模様

 現地時間2021年12月20日、エミレーツ航空が運航したドバイ発ワシントン行きのEK231便において、あやわ大惨事となるトラブルが発生していたことがわかりました。

 このフライトを担当したのは、B777-300ER(A6-EQI)となりますが、離陸時にスピード超過し、標準離陸地点を大幅に通過し、ローカライザーの90m手前で離陸したとみられています。ドバイ空港の滑走路(30R)は、4,000mですが、離陸地点は約4,400m地点で、その時の速度は216ノット(400km)とみられています。


Photo : Google map  30Rエンド地点

 そして離陸後は、最初の住宅地エリアを高度75ft(約23m)234ノット(約433km)で通過したとみられ、高層ビルが立ち並ぶドバイにおいては、あわや建造物に衝突する可能性があったトラブルとなり、住宅地には轟音が鳴り響いたことが予想されます。

 このトラブルの原因は、フライト・ディレクター・システム(オートパイロットを制御するシステム)で離陸後最初に上昇する高度を本来の4000ftではなく、0ftに設定したことが原因で、パイロットが出発時に設定の間違いを見落としていたことが指摘されています。また、異変を察知したときに離陸を中止しなかったことも問題視されています。

 そのほか速度超過によりフラップに損傷を与えた可能性があり、同機は予定通り復路便EK232便を運航した後に、ドバイで4日間運航ラインから外れたことが確認されています。なおこのトラブルにより、一部報道によれば乗務していた4名のパイロットは解雇されたとの情報があります。

 ドバイ空港の滑走路は、運用上4,000mですが、実際はそれ以上に舗装されていたことも大惨事を免れた一因とみられ、複数の幸運により同機は大惨事を免れた模様です。Photo : Emirates

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