ロシア政府のウクライナ侵攻により世界各国から飛行禁止措置とされたアエロフロートロシア航空ですが、これにより世界で最も人気があると言っても過言ではない、ロンドン/ヒースロー空港の発着スロットを失う可能性が出てきています。
ヒースロー空港の発着スロットは、『Use it or Lose it ルール』のより現在70%の運航を行う必要があり、この運航率が確保できなければスロットを失うことになります。※コロナ前までは80%で現在コロナの影響を考慮した特別な運航率を適用中
同社は、現在70スロットを保有していますが、事実上このスロットは維持することができないため、ルールに則れば今後発着枠を手放す必要が生じます。
しかしながらイギリスとロシアの間では、このスロットに係る二国間協定が存在しており、これまでにイギリスの航空会社のロシア上空通過権の引き換えにロシアの航空会社にヒースロー空港の発着枠を与えるという取り決めがあることから、今後このスロットがどのような対処がなされるのか注目となります。
仮にアエロフロートロシア航空が全スロットを失った場合は、再度取得するのは非常に難しい状況となるほか、イギリスにとってもロシア上空通過権は手放したくないものですが、今回の制裁を考えると政治的な判断が必要になる案件とみられています。
なお参考までに、2016年にオマーンエアは、エールフランスKLMグループから、7,500万ドル(約85億)で1往復分のスロットを購入しています。Photo : Airbus