ロシアのウクライナ侵攻による経済制裁に関連して、ロシアの航空会社は、リース機の返却を拒否している状況が続いていますが、S7航空・ノードウィンド航空などの一部の航空会社は、返却の意向を示していることがわかりました。
ロシア政府は、制裁に対抗するためにリース機を事実上ロシアの所有物とすることできる法律を制定しましたが、このような状況下でも全ての航空会社が盗みをはたらくわけではないようです。
これは大手リース会社のエアリースコーポレーションのJohn Plueger CEOが明らかにしたもので、一部の民営エアラインは制裁後を見越してリース機の返却が必要であることを認識して協力的であるとし、同社の契約状況からすると、S7航空やノードウィンド航空の事を指しているとみられ、時期は不明なものの返却する意思はあるとみられます。
一方で国営のアエロフロートロシア航空、傘下のロシア航空、ポベーダ航空などは政府の意向に沿っているとみられており、プーチン政権の影響が色濃く及んでいる模様です。
これまでの情報をまとめると、アエロフロートロシア航空も含めた多くのロシア航空会社は、今回のロシア側の対抗措置には必ずしも賛成でないとみられ、これは今後事業の継続が難しくなることが大きな要因とみられます。少なくとも民間エアラインとの間では水面下でリース会社と交渉が行われている模様で、ロシア航空業界としては現在の状況が危機的であるとの認識はあるものとみられます。
この戦争においては、ロシアという国に責任があるのは最もですが、プーチン大統領の暴走という面も強いことから、ロシアの航空業界からすると被害者的な面もあり、ロシア国内の世論は一枚岩とはいかないとみられています。
Photo : Airbus