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エアバスとカタール航空の争いの前哨戦はエアバスが勝利 カタール航空が計50機のA321の契約を失う

 現地時間2022年4月26日、イギリスの裁判所は、現在エアバスとカタール航空が争っているA321の契約においてエアバスの主張を認める判決を下し、カタール航空が発注していた50機のA321の契約は正式に取り消されることが決まりました。

 この問題は、カタール航空が主張するA350型機の塗装劣化問題により、カタール航空がA350型機の受領を拒否したことから、これを契約の不履行とみなしてエアバスがカタール航空が発注していた50機のA321neoの契約を破棄したものとなります。

 カタール航空側は、同等のモデルが存在しないことから同型機の導入が必要であるとし、エアバスの一方的なキャンセルは無効であると主張していましたが、エアバス側はB737MAX10で代替可能であり、カタール航空がA321neoにこだわる必要がないと主張するなど、もはや顧客とみなしていないという態度を示していました。

 今回裁判所は、エアバスの主張を大筋で認め、エアバスが契約を破棄することは法的に問題が無いと判決を下しており、これによりエアバスはこの50機の転売が可能となるのと同時に、カタール航空は機材戦略を再構築する必要が生じています。

 エアバスは2028年の製造分までA321を売り切っていることから、今後このキャンセル分はカタール航空との契約以上の金額で取引される可能性が高いほか、カタール航空は2023年から受領予定でしたが、代替機として既に発注しているB737MAX10は開発が大幅に遅れていることから、機材計画に狂いが生じることになります。

 ここ最近のカタール航空の焦りとも取れる行動を見る限り、ここまでエアバスが反発する事態になるとは当初想定していなかったとみられ、今後A350型機の塗装問題においてはどのような判決が下されるのか注目です。Photo : Qatar Airways

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