エールフランスKLMグループのBen Smith CEOは、ロシア上空飛行問題で中国市場での競争環境の歪みが生じており、コロナから需要が回復する中でも運航便数を拡大させるのは難しいとの認識を海外メディアに対して示しました。
ロシア・ウクライナ戦争においては、日本を含む西側諸国は、政治的な理由によりロシア上空の飛行を禁止される、または回避している状況が続いていますが、あくまでも中立的な立場を取り続ける中国は、現在もロシア上空を飛行しています。
このようなことから、アジアから欧州までの最短ルートとなるロシア上空を飛行する中国キャリアと、それを回避する欧州キャリアにおいては、運航時間において2~3時間の差がでるほか、その分の燃油代が必要となり、結果的に中国キャリアの優位性が増す状態となっており、欧州キャリアの収益性が低下しています。
通常二国間の輸送においては、公平を元にスロットなどが取り決められますが、現在の状況では公平性が保たれていないことから、エールフランスKLM側は現状に不満を抱いているようです。
コロナ以前までは、中国からのインバウンド獲得のために、多くのエアラインが中国市場で積極的に増便を行っていましたが、当面はこの動きは鈍くなることが予想されます。
なお日本市場においては、日本と欧州エアラインの両方が迂回するため公平性が保たれていますが、一方で中東経由の乗り継ぎ需要が高まっているとの指摘もあるほか、今後中国線の路線が再開されていくと、日欧間において中国経由が優位性を増していく可能性があります。Photo : Airbus