深刻な燃料不足問題に直面している航空業界ですが、様々な原因が重なり合い現在の状況に至っています。
この問題は、海外エアラインが日本国内で燃料不足により燃料補給が行えず、新規就航や増便を見合わせている状況が続いており、インバウンド旅客を逃すような事態となっているものとなります。
なお様々な原因が重なりあって起きており、今後官民で根本的に解決していくことが求められ、今回主な原因をまとめていきます。
【内航船の不足】近年、白油タンカーの隻数は減少する傾向にあるが、内航海運事業者は石油元売と連携しつつ、船を大型化することで配送の効率化と船腹量の確保を図ってきたが、その結果需要の急増等に柔軟に対応する船腹量が不足。
【船員の不足】船員の高齢化と若年層船員の定着率の低下により、内航海運業界では必要な船員の確保が困難な状況。
【働き方改革の影響】船員法改正(2022年4月施行)による船員の労働時間管理の厳格化により、船員の配乗調整に係る余裕がなくなったほか、待機日の設定が必要となり、法改正前と同じ船腹量・船員数でも船の稼働率等が低下する結果、輸送可能量が低下。
【タンクローリー乗務員の確保】トラック乗務員数は減少しており、高齢化率も高い。また、2024年4月よりトラック乗務員の長時間労働抑制に向けた時間外労働の上限規制の適用開始となったほか、タンクローリーは危険物運搬を行う関係上、危険物取扱者資格や牽引免許等の資格取得が必要であり、タンクローリー業界として需要の急増等に応じた乗務員の追加確保が困難。
【空港給油事業者における給油作業員の確保等の課題】給油作業員の採用難(新規採用した作業員にも通常1年以上の教育期間が必要)。航空会社ごとに異なる給油プロトコルが、作業の効率化の妨げとなり、国際線の需要急増に対応した給油作業が困難。そして過密航空ダイヤ下での新規就航も、受託調整が長期化・難航する要因
現在までに国は、韓国をはじめとする海外から燃料を輸入する方針のほか、増便情報を石油元売り会社に早期に伝え、生産計画を立てやすくする予定としています。なお石油業界は、ジェット燃料の安定供給に向けて、以下の提案を行っています。
■ 内航業界における内航船の船腹量・船員の確保と、それに向けた国の支援と対策
■ 人手不足が進行する中、外航エアラインの需要増加に対応したトラック業界におけるローリー乗務員の確保と、それに向けた国の支援と対策
■ 給油事業者の需要増を見据えた給油作業員の増員確保と、それに向けた国の支援と対策
■ 航空各社ごとに異なる給油プロトコルの統一化
■ 国は、新規就航・増便許認可に際し、給油・グラハン要員の確保状態を事前確認
■ 石油会社の生産・調達計画の検討に資するように、外航エアラインの時間的余裕をもった確度の高い就航スケジュールの提示と、商談に向けた調整
■ 関連する規制の緩和