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近年航空業界で「燃料ヘッジ」を積極的に行わなくなった背景

 中東情勢の緊迫化により、原油価格が高騰して世界の航空会社に大きな影響を与えていますが、航空会社が直ちに運賃に転嫁している背景には、近年多くの航空会社で「燃料ヘッジ」を行わない、または縮小したことも一因になっていると考えられます。

 10年前は、燃料ヘッジは航空会社の経営で必須のスキルとされてきましたが、この考えが大きく変化したのは、新型コロナウイルスのパンデミックによる手痛い教訓と、構造的な市場の変化があります。

 2020年の新型コロナウイルス流行時は、多くの航空会社が将来の燃料使用量に対してヘッジをかけていました。しかし、世界的なロックダウンで運休が相次ぎ、燃料を使わないのに、あらかじめ契約した高い価格で購入し続けなければならないという事態に陥りました。

 この結果、世界中の航空会社が巨額の損失を計上し、経営危機のさなかに多額のキャッシュが流出したことで、ヘッジはリスクを抑えるためのものだったはずが、逆に最大のリスクになったという強烈な教訓が業界に刻まれました。

 またヘッジが機能しにくくなった構造的要因に、原油とジェット燃料の価格乖離があり、原油価格が安定していても、ジェット燃料価格だけが急騰するケースが増え、原油でヘッジをかけても実際に使う燃料費の上昇をカバーできないミスマッチが頻発し、ヘッジの費用対効果が著しく低下している傾向が近年強まったことから、ヘッジを回避する動きが強まっています。

 これにより、燃費性能が優れる最新鋭機への投資を加速させること、燃油サーチャージ、ダイナミックプライシングにより即座に運賃に反映させることの方が、経営上プラスになると判断するエアラインも増えています。

 ただ日本企業においては、円安リスクも伴っていることから、為替と燃料費をセットで固定して安定的な経営を目指しているのが現状となっており、今回の中東情勢による緊迫化による原油価格の高騰でも、どちらが正解であるかの判断は難しいと言えます。

 今後はこの燃料高騰の期間が大きな焦点になると考えられますが、現状先行きを見通すのは難しい状況で、今回の問題がどこまで航空業界に影響を与えるのは未知数ですが、将来的には今回の件も考慮して各社が燃料対策を行っていくことになりそうです。

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