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フランス語が不得意なエアカナダCEOが引責辞任 英語のみの追悼メッセージに批判

 2026年3月30日、エアカナダはマイケル・ルソーCEOが2026年第3四半期に退任することを発表しました。先日のニューヨークのラガーディア空港で発生した衝突事故に際し、ルソー氏の追悼メッセージがほぼ英語のみであったため、フランス語圏を中心とするカナダ国内から激しい批判を浴びたことが事実上の引責辞任に繋がりました。

 事の発端は、3月22日夜にラガーディア空港で発生したエアカナダエクスプレス8646便の地上車両との衝突事故です。同機が消防車に衝突し操縦室が大破したことで、ケベック州出身でフランス語を母語とする機長を含むパイロット2名が死亡する痛ましい惨事となりました。事故発生から数時間後、ルソーCEOは約2分半の追悼動画を公開しましたが、冒頭と結びにフランス語で挨拶を添えた以外はすべて英語で語られていました。

 動画にはフランス語の字幕が付けられていたものの、犠牲となった機長やその遺族に対する著しい敬意の欠如であるとして各方面から非難が殺到しました。

 この問題は瞬く間に政治問題へと発展し、フランス語圏の議員らがルソー氏の解任を強く要求し、マーク・カーニー首相も悲しみに暮れる遺族への配慮と判断力が欠如しているとして、同氏に対し公然と苦言を呈する異例の事態となりました。ルソー氏の語学力が問題視されたのは今回が初めてではなく、2021年のCEO就任直後にもケベック州での会議で英語のみの演説を行い猛反発を受けています。当時はフランス語を習得すると約束していましたが、今回の騒動を受けて数年間レッスンを受けたがいまだに適切に表現できないと釈明し、謝罪に追い込まれました。

 当初は謝罪にとどめ辞任を否定していたルソー氏ですが、高まる圧力に抗いきれず、最終的に退任を余儀なくされました。エアカナダの取締役会は、パンデミックからの経営再建や財務的危機の克服において同氏が果たしたこれまでの功績に謝意を示しつつも、すでに次期CEOの正式な選考プロセスを開始しています。同社にとって当面の最大の課題は、運航の安全性に関する信頼回復と、危機管理における適切なコミュニケーション体制の再構築であり、次期トップには経営手腕のみならず、カナダの二つの公用語に対する深い理解と高い語学力が不可欠となると考えられます。Photo : Air Canada

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