アメリカン航空が発表した、ユナイテッド航空との統合否定声明。一見すると単なる火消しに過ぎないこの声明には、よく読んでみると注目すべき点があります。それは、単に統合を否定するにとどまらず「航空業界全体における変革の必要性」にまで踏み込んでいる点です。
これまでアメリカン航空は、業界再編に対して慎重な姿勢を崩さず、具体的な変革案を公にすることは稀でした。しかし、今回の声明であえて「変革」という言葉を選んだことは、同社が水面下で何らかの具体的な計画、あるいは将来的なビジョンを描いている可能性を示唆していると捉えることもできます。
【アメリカン航空の声明全文】
トランプ大統領、ダフィー長官、そして世界最高の航空業界をさらに発展させるべく、専門知識と揺るぎない献身を示してこられた政権内の多くの指導者の方々のリーダーシップと強力な支援に感謝いたします。
アメリカン航空は、ユナイテッド航空との合併に関するいかなる協議にも関与しておらず、また関心がありません。航空業界全体における変革は必要であるかもしれませんが、ユナイテッド航空との合併は競争および消費者にとってマイナスとなるものであり、したがって、当業界に対する政権の理念や独占禁止法の原則とは相容れないものです。当社は今後も、戦略的目標の達成と、長期的な成功に向けたアメリカン航空の体制構築に注力してまいります。
航空業界全体の強化に向けた措置を講じる政権と、引き続き協力して取り組んでいくことを楽しみにしております。
現在、アメリカの航空市場で最も注目されている再編の火種は、ジェットブルー航空をめぐる買収、そして経営難が囁かれるスピリット航空の去就です。
特にジェットブルーについては、かつてアメリカン航空との提携(ノースイースト・アライアンス)が独占禁止法違反と判断され、解消に追い込まれた経緯があります。しかし、今回の声明で示された「変革への意欲」は、再びジェットブルーの動向に関与しようとする意思の表れではないかとの見方もでき、アメリカン航空の「ユナイテッドとの合併否定」は、決して現状維持を意味するものではなく、むしろ、自らが主導権を握る形での変革に向けた宣言であるとも受け取れます。
これは筆者が深読みしすぎているだけかもしれませんが、アメリカの航空業界は燃料問題を引き金に大きく動く可能性が高いのは確実な情勢です。今後、どのエアラインがどのようなカードを切るのか、アメリカの航空市場の動向から目が離せません。Photo : American Air




