トランプ米大統領は現地時間2026年4月21日、経営危機に陥っているLCCのスピリット航空について、他社による買収を望む姿勢を明らかにしました。また、当初は否定的な見方が強かった連邦政府による救済措置についても言及し、約1万4000人の雇用を守るための介入を示唆するなど、これまでのスタンスから大きな転換を見せています。
スピリット航空は2024年以降、すでに2度の連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を申請し、厳しい経営再建の途上にあります。それに追い打ちをかけているのが、中東情勢の悪化に伴う原油価格の高騰です。イラン関連の紛争を背景に原油価格が1バレル100ドルを突破したことで燃料費が倍増しており、単独での再建は極めて困難な状況に追い込まれています。
当初、政権内では一企業の経営不振に対して公的資金を投入することには慎重な姿勢が示されており、市場でも政府による救済(ベイルアウト)は行われないとの見方がされていました。しかし、トランプ大統領は直近のインタビューで同社が抱える約1万4000人の従業員に直接言及し、大規模な雇用喪失を防ぐ必要性を強調しています。買収先が見つからない場合の事実上のプランBとして、ショーン・ダフィ運輸長官に対して緊急融資などの政府支援を検討するよう指示を出したとされており、自由競争の原則よりも雇用維持の政治的判断が優先された形です。
この方針転換の背景には、前政権との明確な差別化を図る狙いも透けて見えます。トランプ政権は、バイデン前政権下の司法省が独占禁止法を理由にジェットブルー航空による買収を阻止したことが、現在のスピリット航空の窮状を招いた最大の要因であると分析しています。他社による救済合併を容認する姿勢を示すことで、規制緩和を重視する現政権のスタンスを改めてアピールした格好です。
一方で、大統領はメガキャリア同士の統合には否定的な見解を示しており、市場で噂されるユナイテッド航空とアメリカン航空の合併については明確に反対の立場をとっています。単独で利益を出している大手航空会社と、清算の危機にあるLCCとで対応を明確に使い分けており、今後の米航空業界の再編において、政権の意向が大きく影響を与えることは必至の情勢となっています。スピリット航空の動向および買収先の候補について、業界内での注目が急速に高まっています。Photo:Sprit Airlines



