全日本空輸(ANA)は23日、マイレージプログラムの上級会員向けサービス「ANAスーパーフライヤーズカード(SFC)」の制度を2028年度から大幅に刷新すると発表しました。新たに日常の決済額ベースの条件が設けられ、達成状況に応じて「SFC PLUS」と「SFC LITE」の2つのステイタスに分割されます。これにより、「クレジットカードを保有し続ければ半永久的に特典が維持される」という従来の前提が大きく転換されることになります。
-ANAマイレージクラブ.png)
新制度の適用は2028年4月1日から開始されます。制度改定の最大の焦点は、ANAカードおよびANA Payでの「年間300万円」の決済額です。この条件をクリアした会員は「SFC PLUS」となり、ANA国内線・国際線ラウンジの利用や、スターアライアンス・ゴールド資格といった従来のSFC特典がそのまま維持されます。さらに、新たな特典として5,000マイルのボーナスマイルが付与されます。
一方、年間決済額が300万円に満たない場合は「SFC LITE」に位置付けられます。SFC LITEでは、これまで上級会員の最大の魅力とされてきたANAラウンジが利用不可となり、スターアライアンス・ゴールド資格も付与されないなど、享受できるサービスが大幅に制限されることとなります。決済額の集計対象期間は、ステイタス適用前々年の12月16日から前年の12月15日までの1年間となります。2028年度のステイタスに向けた最初の判定期間は、今年、2026年12月16日よりスタートします。
なお、例外となる救済措置も設けられています。ANAグループ運航便の搭乗で「100万ライフタイムマイル」に到達しているミリオンマイラーの会員については、決済額にかかわらず無条件で「SFC PLUS」の対象となり、ラウンジ等の特典を継続して利用可能となります。ただし、5,000マイルのボーナス獲得には300万円の決済が必要です。
今回の制度変更の背景には、近年のエアライン業界における「プレミアム化」へのシフトがあると考えられます。航空会社の利益の多くを占めるのは、ビジネスクラスをはじめとした上級座席です。そのため、今回の取り組みは、ラウンジの混雑解消を図り、上級クラス乗客の満足度向上に注力する一環であると考えられます。
例えば、アメリカの航空市場に目を向けると、この「プレミアム化」の重要性がより鮮明になります。いち早くラウンジや上級クラスなどのプレミアム戦略を推し進めたデルタ航空やユナイテッド航空が高い収益性を誇る一方で、プレミアム化への対応が遅れたアメリカン航空は、利益面で両社に大きく水をあけられているのが現状です。
昨今の燃料高騰などの影響もあり、現在世界のエアラインが上級クラス利用者の囲い込みに力を入れています。激化する国際競争力の観点から考えると、限られたリソースを優良顧客へ集中させる今回の改定は、世界の潮流に合わせた十分に理解できる戦略と言えます。
一方で、これまでのサービスを受けられなくなる利用者からは反発の声が上がることも予想されます。大きな転換となる今回の経営戦略が、長期的にどのような結果をもたらすのか、今後の動向が注目されます。Photo : ANA
ANA、2026年度航空輸送事業計画を策定 成田~バンクーバー線の期間運航や羽田~ミラノ線のデイリー化を予定 静岡空港から撤退




