幾度となく経営破綻の危機に瀕してきた米LCC大手のスピリット航空に対し、米トランプ政権が直接的な救済措置に乗り出す可能性が極めて高くなっています。当初、航空業界や市場関係者の間では、特定の一企業に対する政府の単独介入は考えにくく、同社は事業清算の道を辿るか、自力での抜本的な再建を迫られるという予想が支配的でした。しかし、その当初の予想に反し、現在政府高官を交えた支援協議が最終段階に入っていると複数の米主要メディアが一斉に報じています。
同社は、前政権下でジェットブルー航空との合併が反トラスト法違反により阻止されて以降、深刻な財務悪化に苦しんできました。2024年11月と2025年8月の二度にわたって連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を申請しており、直近では債権者との合意を通じて今夏までの再建完了を目指していました。しかし、中東情勢の緊迫化に伴う航空燃料価格の高騰がLCC特有のビジネスモデルを直撃し、一部の債権者からは会社の清算すら指摘されるなど、自力再建への道は非常に厳しい局面に立たされていました。
このような状況下で事態を大きく動かしたのが、トランプ大統領の強い意向です。大統領は直近のインタビューにおいて、スピリット航空が抱える約1万4000人の従業員の雇用保護に懸念を示し、連邦政府による支援の必要性に言及しました。現在、ラトニック商務長官やダフィー運輸長官を中心として具体的な救済パッケージの策定が進められています。検討されている内容は最大5億ドル(約800億円)規模の融資にとどまらず、見返りとして政府が株式購入権を取得し、再建後には最大9割の株式を握る実質的な国有化案も浮上するなど、極めて踏み込んだ内容となっているとされています。
過去の同時多発テロや新型コロナウイルスのパンデミック時のように、航空業界全体に対する政府の包括的な資金支援策は存在しましたが、今回のように経営難に陥った特定の単一航空会社に対して政府が直接介入し、救済に動くのは異例のケースです。この予想外の政府介入が連邦破産裁判所の承認を得て実現するのか、あるいはLCC市場における他社による買収の呼び水となるのか、アメリカの航空業界再編を左右する転換点として大きな注目が集まっています。Photo : Sprit Airlines



