2026年3月22日の夜、ニューヨークのラガーディア空港にて、エアカナダ8646便として運航されていたジャズ・アビエーションのCRJ-900機(C-GNJZ)が着陸時に消防車両(ARFF)と衝突する痛ましい事故が発生しました。国家運輸安全委員会(NTSB)が公表した予備報告書によると、この事故により機長と副操縦士の2名が死亡し、乗客や消防車両の乗員を含む計39名が病院に搬送され、うち6名が重傷を負う事態となりました。
事故の背景には、空港内で同時に発生していた別の緊急事態と、複雑な管制のやり取りが絡み合っていました。事故当日、ARFFの車両群はターミナルB付近で発生した緊急事態に対応するため出動していました。23時35分、管制塔は同機に滑走路4への着陸を許可しましたが、その直後、消防車両の「トラック1」が交差点での滑走路の横断を要請しました。これに対し、管制官はトラック1に対しても滑走路の横断を許可してしまい、結果的に同じ滑走路上に航空機と車両を導くことになりました。


最新の空港面探知レーダー(ASDE-X)が導入されていたにもかかわらず、なぜシステムが衝突を防げなかったのかという点について、報告書は技術的な限界を指摘しています。ラガーディア空港のASDE-Xは、航空機や車両の動きを監視して潜在的な衝突を警告する機能を持っていますが、出動していた地上車両にはトランスポンダが搭載されていませんでした。そのため、密集して移動する複数の車両群をシステムが正確に個別のターゲットとして識別できず、着陸機との衝突の危険性を予測して管制官に警報を発することができませんでした。
さらに、滑走路への誤進入を防ぐための滑走路状態表示灯(RWSL)の作動状況も、事故の要因として浮かび上がっています。RWSLの赤色灯は、滑走路に航空機が接近していないときは消灯し、航空機が着陸のために滑走路に接近しているとき、または離陸準備をしているときに、ASDE-Xシステムによって自動的に点灯します。着陸機が滑走路に接近すると、滑走路沿いの交差する誘導路に設置された赤色灯が同時に点灯して航空機に警告し、そして航空機が着陸すると滑走路を進むにつれて、各誘導路の赤色灯が順に消灯します。ただシステムは、航空機が各交差点に到達する約2~3秒前に消灯するように設計されています。

実際、トラック1が滑走路の端に到達した頃には表示灯が消灯しており、それは衝突のわずか約3秒前の出来事でした。衝突の直前、管制官は複数回にわたって車両に停止を指示し、トラックの乗員も直前に左へ回避を試みましたが、機体は時速約104マイルでトラックに激突しました。
このNTSBによる予備報告書は、複雑な空港地上運用における連携のズレと、それをカバーすべき安全システムの技術的な死角が重なったことで起きた出来事であることを示唆しています。今後の本格的な調査により、空港の安全基準や地上車両の装備に関する見直しが進められることが予想されます。Photo : NTSB




