FSC 機材 航空ニュース

エミレーツ航空、リース満了のA380型機29機を買い取り

 エミレーツ航空は、記録的な好業績と潤沢な手元資金を背景に、これまでリースで運航していたエアバスA380型機を大規模に自社保有へと切り替えています。2026年5月7日に発表された2025-26年度の年次報告書において、同社はリース契約が満了したA380型機29機、ボーイング777型機5機を自社資産として買い取ったことを明らかにしました。

 この大規模な自社買い取りの背景には、航空業界全体を悩ませているサプライチェーンの混乱と、それに伴う新型機の納入遅延問題が深く関係しています。エミレーツ航空は次世代の主力機として777Xなどを大量発注していますが、その引き渡しは2027年以降にずれ込んでいます。一方で、航空需要が世界的に力強い伸びを見せる中、ロンドン・ヒースロー空港やパリ・シャルル・ド・ゴール空港をはじめとする発着枠の制限が厳しい主要路線において、一度に大量の旅客を輸送できるA380は、同社のハブ・アンド・スポーク戦略において現在も「替えが効かない存在」となっています。

 エミレーツ航空のティム・クラーク社長がこれまでにも示唆してきた通り、同社はA380を少なくとも2040年代前半まで運用し続ける方針を固めています。今回のリース機買い取りは、手元の潤沢なキャッシュを活用して高額な月々のリース料負担を根本から削減し、長期的な運航コストを抑える明確な狙いがあります。

 さらに、エアバスが2021年をもってA380の生産を終了している点も重要です。関連部品のサプライチェーンが徐々に縮小していく中、機体を自社で完全所有することは、将来的に退役させる機体からスペアパーツを確保するための重要なリスクヘッジとしても機能します。

 同社は現在、A380や777を対象とした大規模な機内改修プログラムも推し進めており、プレミアム・エコノミークラスの導入を含めた機材の延命と商品力の維持・強化に巨額の投資を行っています。今回買い取られた機材群は、次世代ワイドボディ機の納入が本格化するまでの間、世界最大のA380オペレーターである同社の屋台骨として、今後も重要な役割を担っていくことになります。Photo : Airbus

エミレーツ航空、ネットワークの96%を回復 成田線の貨物便は5月22日から増便し旅客便は10月からダブルデイリー化

エミレーツ航空社長、危機下でも揺るがぬ自信「事態収束後1〜2ヶ月で運航体制を完全に正常化」

エミレーツ航空、ファーストクラス全室に専用バスルーム完備する構想を明らかに