スリランカ航空の元CEOであるカピラ・チャンドラセーナ氏が2026年5月8日、コロンボ市内の自宅で亡くなっているのが発見されました。
地元警察の発表によりますと、チャンドラセーナ氏はコロンボのコルピティヤ地区にある自宅内で首を吊った状態で発見されました。警察は自殺の可能性が高いとみて、詳しい死因や経緯について慎重に捜査を進めています。
チャンドラセーナ氏の遺体が発見されたのは、同氏に対して逮捕状が発付されたわずか1日後のことでした。同氏は、スリランカ航空の経営に甚大な打撃を与えた「エアバス機導入を巡る大規模汚職事件」の中心人物として起訴されており、当時は保釈中の身でした。しかし、贈収賄・汚職捜査委員会が「不適切な保証人を立てるなど保釈条件に違反した」と指摘し、裁判所に再勾留を求めた直後の悲劇となりました。
この汚職事件の核心は、チャンドラセーナ氏がCEOを務めていた2013年に行われた、計10機(A330-300型機6機、A350-900型機4機)のエアバス機購入・リース契約にあります。2020年、エアバス社は、世界各国の航空会社や政府関係者に対して組織的な賄賂を贈っていた事実を認め、英・米・仏の当局に対して総額約4,300億円の制裁金を支払うことで合意しました。この際に公表された調査資料から、スリランカ航空との不透明な取引が明るみに出たのです。
当局の捜査によれば、エアバスは大型契約を確実にするため、チャンドラセーナ氏の妻がブルネイに登記したペーパーカンパニー「Biz-Direct」をコンサルタントとして指名しました。そして、計1,689万ドル(約26億円)の支払いを約束し、最終的に約200万ドル(約3億円)の賄賂が妻のオーストラリアの銀行口座を通じて支払われたことが判明しています。
この汚職を伴う無理な機材発注は、スリランカ航空の経営に致命的な悪影響を及ぼしました。その後、採算の見込めないA350型機の導入計画が一部キャンセルされましたが、その際にスリランカ航空が支払った違約金(解約手数料)は1億ドル(約155億円)以上に達し、この巨額の損失が、現在も続く同社の深刻な経営危機の決定的な要因の一つになったと考えられています。
航空機メーカーとエアラインの癒着が招いた凄惨な結末。真相究明の鍵を握る重要人物が突然この世を去ったことは、スリランカ国内で大きな衝撃を与えています。Photo : SriLankan Airlines



