アメリカ連邦航空局(FAA)は、空港の安全性を一段と向上させるための新たな対策を発表し、同局が管理するすべての地上車両にトランスポンダーを設置する方針を明らかにしました。総額1650万ドルを投じるこのプロジェクトは間もなく開始され、近年アメリカ国内で課題となっている滑走路誤進入の未然防止に大きく貢献することが期待されています。
今回の背景には、今年3月22日にニューヨークのラガーディア空港で発生した地上での接触事故があります。エアカナダエクスプレスの着陸機と空港消防車が衝突したこの事案では、国家運輸安全委員会(NTSB)の調査により、消防車側にトランスポンダーが搭載されていなかったことが指摘されました。これにより、管制官や地上監視システムが車両の接近を正確に検知できず、適切な警告を出すことができなかったとされています。この事態を重く見たFAAは、以前から計画していたトランスポンダーの導入プロジェクトを急遽前倒しして実施することを決断しました。
新たに車両に設置されるのは「VMAT(Vehicle Movement Area Transmitters)」と呼ばれる発信装置です。これまでトランスポンダー非搭載の車両は、管制官のレーダー画面上で未確認のシンボルとしてしか認識されませんでした。しかし、VMATの導入後は、車両の識別情報やコールサインがリアルタイムで明瞭に表示されるようになり、管制官の状況把握能力が飛躍的に向上します。
本プロジェクトの対象となるのは、FAAが直接管理する約1900台の地上車両です。設置対象となる空港は、既存の高度地上監視システム(ASDE-XおよびASSC)がすでに稼働している44空港と、「SAI(Surface Awareness Initiative)」システムを導入済み、または導入予定となっている220空港を合わせた、全米264の空港にのぼります。
さらにFAAは今回の発表のなかで、各空港の運営当局や航空会社に対しても、連邦補助金(Federal Grants)を積極的に活用し、自社が管轄する除雪車やオペレーション車両などの地上車両に同様の設備を導入するよう強く推奨しています。すでに50以上の空港がこの取り組みに関心を示しているとされており、アメリカ国内の空港における地上安全基準は今後さらに高まる見通しです。Photo : NTSB




