ボーイングのケリー・オルトバーグCEOは、開発が長期化している次世代大型ワイドボディ機「777X(主に777-9)」について、すでに製造済みの初期機体約30機の改修作業に「数年を要する」との見通しを明らかにしました。同社は当面、改修機ではなく新規に製造される機体を優先して納入する方針へと舵を切りましたが、長期保管と大規模な後付け改修を余儀なくされる初期製造機を巡っては、過去の787型機のように発注元の航空会社が受領を拒否する可能性も否定できません。


2026年4月下旬に実施された第1四半期決算説明会において、オルトバーグCEOは777Xの生産状況に言及しました。同氏によれば、エバレット工場などで保管されている約30機の初期製造機を最新の共通仕様へ引き上げるには、「設計変更の組み込み」プロセスを経る必要があり、全機の作業完了には数年かかるとしました。
長期間に及ぶテストやFAAの審査プロセスの中で設計要件が再三にわたり変化しているため、製造時期が古い機体ほど大幅な構造的改修が必要となり、より多くの時間を要するとのことです。これに対応するため、ボーイング社内には改修プロセスを専門に管理・実行する専任チームが新たに立ち上げられました。
しかし、この改修作業の完了を待っていては、顧客へのデリバリーがさらに遅延することになります。そのためオルトバーグCEOは、2027年頃に予定されている商業運航に向けた初号機納入(ルフトハンザドイツ航空向けなど)において、保管中の機体ではなく、最新の生産基準を最初から満たした状態でラインから出荷される「新造機」を優先して引き渡していく方針としています。
ボーイングが新造機の優先納入に動く背景には、航空会社側の機体品質への強い懸念があると見られています。これまでにエミレーツ航空社長が、保管機は、もはや中古機と指摘するなどしており、今回の事態が過去の「787型機」における初期製造機問題の再来になる可能性も考えられます。787の開発時にも、型式証明前に先行製造された初期ロット機(いわゆる「Terrible Teens」など)が、大幅な改修の手間や重量オーバーなどを理由に発注元の航空会社から受領を拒否され、ボーイングが在庫として長期間抱え込む事態となりました。
今回の777Xにおいても、数年間にわたる保管期間に加え、配線や構造部材に至るまで複雑な後付け改修が施された機体を受け取ることは、運用実績や将来のメンテナンスコストを考慮する航空会社にとってリスクに映りかねません。今後、発注元の航空会社が初期製造機の受領を避け、純粋な新造機への割り当て変更を要求する動きが表面化する可能性もあり、エバレットに駐機された約30機の機体はボーイングにとって大きな悩みの種となりそうです。Photo : Boeing
エミレーツ航空が開発を要望しボーイングが検討している777-10は777-9を5m延長しエコノミークラスを50席増加が可能も課題が存在




