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ノースアトランティック航空に身売り報道、事実上の「ノルウェージャンの後継」が直面する長距離LCCの壁

 ノルウェーを拠点とする長距離格安航空会社のノースアトランティック航空が、他社との合併や身売りを含む戦略的な選択肢の検討に入ったことが明らかになったとブルームバーグが報じました。同社は金融大手JPモルガン・チェースをアドバイザーとして起用し、航空業界の書き入れ時である夏のピークシーズンを前に、本格的な売却プロセスを始動する意向だとされています。

 報道において、負債を含めた同社の企業価値は約10億ドル規模と見積もられています。現在検討されている選択肢は完全な事業の身売りに限定されず、他航空会社との合併や、現在インドのインディゴなどと行っているウェットリース事業をさらに拡大させるような、強力なパートナーシップの構築も視野に含まれている模様です。中東情勢などに起因する燃料費の高騰や、大西洋路線の需要軟化によって財務が圧迫されており、現在進めているコスト削減計画だけでは不十分と判断し、抜本的な見直しを迫られた形です。

 こうしたニュースの裏で、航空業界が冷ややかな視線を送っている事実があります。それは、ノースアトランティック航空がたどっている軌跡の強い既視感と、長距離LCCというビジネスモデルの根本的な難しさです。

 同社は事実上、新型コロナウイルス禍における経営危機で長距離路線からの撤退を余儀なくされた「ノルウェージャン・エアシャトル」の長距離部門の後釜として誕生しました。ノルウェージャンが手放した787型機をリースで引き継ぎ、元幹部らが中心となって、再び大西洋横断路線の低価格ネットワークを構築しようとした野心的なプロジェクトでした。

 しかし、今回の身売り検討の動きは、その目論見が思い通りにいっていないことを如実に示しています。短・中距離路線のように機材の回転率を極限まで上げて利益を出すことが物理的に不可能な長距離路線においては、燃料費の変動リスクや季節ごとの需要の波が経営にダイレクトに響きます。かつてノルウェージャンの屋台骨を揺るがしたのと同じ構造的な課題に、ノースアトランティック航空もまた苦しめられていると言わざるを得ません。

「ノルウェージャンの再来」として大西洋路線に挑んだ同社が、独立した長距離LCCとして独自の生き残り策を見出すのか。それとも、既存の大手航空会社や投資ファンドの傘下に収まり、そのビジネスモデルを変容させるのか。大西洋路線の勢力図を左右する今後の動向が注目されます。Photo :Norse Atlantic Airways

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