米ワシントン州シアトルの連邦裁判所において、ボーイング737MAXの販売をめぐり、LOTポーランド航空がボーイング社を相手取って起こしていた民事訴訟の裁判があり、連邦地裁の陪審員はボーイング社に詐欺の責任はないとする評決を下しました。2週間にわたる法廷闘争の末、陪審員団はわずか3時間ほどの審議でボーイング社側の主張を支持する結論に至りました。
本訴訟は、2018年と2019年に発生した2件の墜落事故を受け、全世界で約20ヶ月間にわたり737MAXの運航が停止されたことに端を発します。LOTポーランド航空は2021年、ボーイング社が同型機の飛行制御システム(MCAS)に関する重要な設計変更やそれに伴うリスクを意図的に隠蔽して販売活動を行ったと主張し、機体の運航停止に伴う代替機調達や運航キャンセルなどで生じた多額の損失に対する損害賠償を求めて提訴していました。
裁判においてLOTポーランド航空側は、もしボーイング社が事前にシステムのリスクや全容を開示していれば、737 MAXの導入契約を結ぶことはなく、従来型の737NGシリーズや競合であるエアバスのA320neoファミリーを選択していたと強調しました。
これに対してボーイング社側は、トラブルに伴う救済措置や損害への対応は、両者が締結した購入・リース契約の枠内で処理されるべき性質のものであり、「詐欺」には当たらないと反論しました。さらに、運航再開後もLOTポーランド航空が737MAXを主力機材として運航し続けている事実を挙げ、「リスクを知っていれば導入しなかった」という原告側の主張は矛盾していると指摘しました。
アメリカにおける民事訴訟では、単なる契約違反や過失に比べて、相手方の「意図的な詐欺行為(欺罔行為)」を法的に立証するハードルが極めて高く設定されています。今回の裁判でも、陪審員団はボーイング社に組織的な詐欺の意図があったとまでは認められないと判断し、同社側の全面勝利という形で評決が下される結果となりました。
現時点で今後のLOT側の今後の対応方針は不明ですが、上訴に向けた法的手段の検討を含め、その動向が注目されています。Photo : LOT Polish Airlines



