国土交通省の「国内航空のあり方に関する有識者会議(第6回)」が開催され、新型コロナウイルス感染症後の事業環境の構造的変化に対応するための報告書案がまとまりました。円安や物価高によるコスト高騰、需要構造の変化を受け、これまでの「競争促進」を原則としつつも、国内航空ネットワーク維持のために航空会社間の一定の協調を容認する方向性を明確にしたのが大きな特徴です。

現在、国内線の旅客数はコロナ禍前の水準まで回復しているものの、比較的高単価なビジネス需要が減少しています。それに加え、燃油費や整備費、人件費などの不可逆的なコスト上昇が重なり、2024年度の主要6社の国内線収支は実質的に赤字へと転落しました。特に国内専業の中堅航空会社は、コロナ禍前の半分程度の営業利益率にとどまるなど、極めて厳しい経営状況に直面しています。
こうした危機的状況のなか、路線ネットワークを維持するための方策として、航空会社間の「路線協調」を進める方針が打ち出されました。具体的には、複数社のダイヤが重複している路線において、一定の要件を満たせば独占禁止法上問題なくダイヤ調整を行うことが可能であるとの見解が示されました。さらに、自由な競争のみでは事業継続が困難となる離島路線など「地域住民の生活に必要な路線」については、航空法の認可を得ることで独占禁止法の適用除外とし、便数調整や運航社集約といった踏み込んだ協調も容認するとしています。
また、大きな制度見直しとなるのが、中堅航空会社(特定既存航空会社)への出資等に関する規制の廃止方針です。これまで、新規参入航空会社の独立性を確保する目的で、大手航空会社からの出資比率を20%未満に制限するなどの規制が設けられていました。しかし、事業環境の変化に適応した経営判断の自由度を高めるため、今回の報告書案ではこの規制を廃止することが適当であるとの結論が下されました。ただし、大手航空会社による出資比率が20%を超えるような場合には、競争環境の維持とネットワークへの影響を考慮し、保有する羽田発着枠の10%を上限として回収し、出資拡大等に関わらない他の中堅航空会社へ再配分するセーフティネット措置を同時に講じる構えです。
運賃面においては、頻発する低価格のセール販売が過当競争を招いていないかという懸念に対し、監視体制を強化する方針です。現下の事業環境に合わせて、略奪的運賃を判断する「変動費」の基準に見直すべき費目がないか検討を進め、コストに見合った健全な価格競争を促していく考えです。同時に、利用者へ向けた実勢運賃水準の動向等の情報公開も進められる見通しです。
このほか、需要獲得の切り札として、現在数パーセントにとどまっているインバウンド旅客の国内線への取り込みを強化します。2026年度からは国際観光旅客税を活用した補助事業の対象を国内線にも拡充し、自動チェックイン機の導入による搭乗手続きの円滑化や、ターミナル機能の強化を支援する計画です。あわせて、地域航空への乗継需要を喚起するため、経路検索システムへの表示支援や旅行商品の造成といった、国による伴走支援も推進していくことが確認されました。Photo : 国土交通省




