ボーイングは2026年5月26日、開発中の次世代大型ワイドボディ機「777-9」のフライトデッキにおけるヒューマンファクター評価の最終段階となるフェーズ4のシミュレーター試験を完了したと発表しました。この数年にわたる取り組みには、世界中の顧客航空会社から200名以上のパイロットが参加し、乗務員がすべての必要なタスクを安全に遂行できることが実証されました。

777-9は、米国連邦航空局(FAA)が新たに導入したヒューマンファクター規制への適合性を証明するため、現役のエアラインパイロットによるシミュレーター評価を取り入れた初のボーイング機となります。この新たな安全基準は、2018年および2019年に発生した737MAXの事故の教訓を踏まえ、2020年に制定された「航空機認証・安全・説明責任法」に基づいて策定されたものです。
ボーイングのエンジニアリング・テストパイロットを務めるタナー・シムズ機長は、「フライトデッキ全体をこれらの新たなヒューマンファクター規制と照らし合わせて包括的に検証するのは今回が初めての試みです」と述べています。


「フライトデッキの卒業試験」とも位置づけられた今回のフェーズ4の評価は、シアトルにあるボーイングのシミュレーター施設で行われました。顧客エアライン5社からのパイロットが参加し、出発から到着までの全行程や特定の操作に焦点を当てたシナリオ飛行を実施しました。テストの際、パイロットには事前に内容を知らされず、飛行中に意図的なシステム障害などの予期せぬトラブルが引き起こされました。これにより、実際の運航時におけるリアルで偏りのない対応が引き出され、乗務員が適切にチェックリストに従い、安全に着陸できるかが確認されました。
777Xチーフ・テクニカル・パイロットのゲイリー・マンディ機長は、「フライトデッキ、チェックリスト、警告システムなど、考え得るあらゆる要素を検証しました」と説明し、現実のフライトを忠実に再現するために数か月をかけて精緻なシナリオを構築したことを明かしています。
777-9のフライトデッキは、既存の777や787との高い共通性を維持しつつ、さまざまな機能向上が図られています。タッチスクリーン対応の大型ディスプレイをはじめ、787と同様のデュアル・ヘッドアップ・ディスプレイ(オプション)、快適性を向上させた再設計のパイロットシート、さらには777-9特有の折りたたみ式翼端の展開状況が一目でわかる専用の操作・表示パネルなど、最新技術が組み込まれています。
全4フェーズ、7都市(ドバイ・フランクフルト・ガトウィック・香港・マイアミ・シアトル・シンガポール)を舞台に118日間にわたって行われた今回の試験データは、機体認証の取得に向けてFAAへ提出されます。ボーイングは2027年の初号機納入を最優先事項として掲げており、今回の評価で得られた貴重な知見は、同機のみならず将来開発されるボーイング機の設計にも活かされていく予定です。Photo : Boeing




