スペイン政府は、6月2日に開催された閣僚理事会において、ターキッシュエアラインズによるエアヨーロッパへの出資を正式に承認しました。この決定により、ターキッシュエアラインズは約3億ユーロを投じてエアヨーロッパの株式26.5%を取得する見通しとなりました。本件は、5月にスペイン海外投資委員会が提出した肯定的な報告書に基づくものであり、基幹産業に対する外資規制上の国内手続きはこれで完了したことになります。
今回の出資承認にあたり、スペイン政府は安全保障上の重要な条件を付加しています。エアヨーロッパは平時よりスペイン国防省から軍用輸送や緊急時の国民退避などの戦略的任務を受託しており、国家の安全保障と密接に関わっています。そのため、実質的にトルコ政府系ファンドの傘下にあるターキッシュエアラインズに対し、これら国防関連のオペレーションにいかなる干渉も行わないことが、出資を認める上での絶対条件として課されました。
エアヨーロッパを巡っては、これまでインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)による完全買収が試みられてきたものの、欧州委員会(EC)の独占禁止に関する懸念から事実上頓挫した経緯があります。ターキッシュエアラインズが今回、出資比率を30%未満に留めた背景には、EU内の厳格な外資規制や競争法上のハードルを回避しつつ提携を深める戦略的な狙いがあるとみられます。
この提携は両社に大きなメリットをもたらします。ターキッシュエアラインズは自社のネットワークで相対的に手薄であった中南米市場へのアクセスを、マドリードをハブとして大幅に強化できます。一方のエアヨーロッパ側は、コロナ禍以降の財務基盤の立て直しや次世代機材への更新に向けた不可欠な資金を獲得することになります。
スペイン国内での承認プロセスを通過したことで、今後の焦点は欧州委員会による競争法上の最終審査へと移ります。ターキッシュエアラインズは、2026年末までの取引完了を見込んでいます。Photo : Air Europe



