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エアバス、超長距離型A350-1000ULRの飛行試験内容を公開 試験には「ダミー乗客が搭乗」

 エアバスは、カンタス航空が掲げるオーストラリア東海岸からロンドンやニューヨークへの直行便就航計画「プロジェクト・サンライズ」に向け、超長距離型旅客機「A350-1000ULR」の飛行試験および型式証明取得のための試験プログラムを本格的に開始しました。2025年後半にロールアウトした量産機(製造番号:MSN707)は、2026年6月2日に初飛行を成功させており、今後約2ヶ月間にわたり欧州航空安全機関(EASA)の認証に向けた集中的なテスト飛行を実施します。

 最大22時間におよぶ超長距離飛行を実現するため、A350-1000ULRにはいくつかの重要な改修が施されています。具体的には、2万リットルを誇る後部中央燃料タンクの増設や燃料システムの改良に加え、各ギャレーを個別に冷却する「新世代エアチラー(NGAC)」となります。これまでのA350で使用されていた集中型冷凍システムから、各ギャレーに個別に冷却を提供する局所型システムへの移行を意味します。

 今回のテスト特有の課題は、試験機体(MSN707)が最終的にカンタス航空の商業運航で使用される量産機であるという点でした。客室を無傷で新品のまま保つ必要があるため、従来のプロトタイプ機のような大規模で破壊的な機器の設置はできません。そこでエアバスのチームは、機体に新たな穴を開けることなく、オレンジ色のケーブルを既存の客室シートトラックなどに這わせる非破壊的なアプローチを採用しました。機内には5トンに及ぶ計1,000個以上の専用センサーやテスト機器が慎重に組み込まれています。

 また、新導入の冷却システムが最適な客室環境を維持できるかを確認するため、実際の人体と同じ熱を発する「ダミー乗客」を客室内に配置しています。これにより、実際の乗客が搭乗する前に、機内が最大限の快適性を保てるかを厳密に検証することが可能となっています。

 MSN707のテストフライトエンジニアを務めるローラン・ロシニョール氏は、「量産機での飛行試験には特別なプレッシャーがあります。私たちが触れるすべてのスイッチや確認作業は、将来の乗客体験と運航の信頼性を念頭に置いて実行されなければなりません」と語っています。

 この一連の試験プロセスは、カンタス航空の将来のフラッグシップを準備するだけでなく、エアバスの航空機開発や認証プロセスそのものを進化させる取り組みでもあります。今回1,000個以上のセンサーから収集される膨大な現実の飛行データは、A350の客室環境を再現するデジタルモデルの再調整に活用されます。これにより、将来的な客室の改修などにおいて高額な物理テストを繰り返す必要がなくなり、開発コストの削減やリードタイムの短縮に大きく貢献することが期待されています。Photo : Airbus

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