ユナイテッド航空が、今後路線投入を予定しているナローボディ機の長距離路線向け新機材「エアバスA321XLR」において、エコノミークラスの最前列の3列シートの中間席をブロックし、専用のテーブルを常設した新しいエコノミークラスの座席プロダクトを開発していることが明らかになりました。欧州の航空会社が短距離路線のビジネスクラスでよく採用しているスタイルに近いこの座席ですが、顧客体験の向上という表向きの理由の裏には、巧妙なコスト削減の狙いが隠されていると考えられます。
この新仕様の存在が明るみに出た発端は、海外の巨大掲示板「Reddit」上に流出した写真でした。この写真が話題を呼んだ後、ユナイテッド航空はLive and Let’s Flyなどのメディアに対し、A321XLR向けに同プロダクトを実際にテスト・開発中であることを認めました。
ユナイテッド航空は、この試みを「業界内で自社をさらに差別化し、飛行体験にさらなる価値を付加するための投資の一環」と説明しています。専用テーブルが設置されることで乗客は肩回りのスペースを広く確保でき、パソコン作業や食事の際にも利便性が向上します。同社は今後、大西洋横断などの長距離路線を飛ぶA321XLRにおいて、これを新たなプレミアムシートとして追加料金で販売し、収益化を目指していると見られます。
しかし、この計画の「真の狙い」は、客室乗務員の要員削減による人件費の圧縮と考えられます。ユナイテッド航空のA321XLRは当初、ビジネスクラス20席、プレミアムエコノミー12席、エコノミー120席の合計152席で構成される予定でした。米連邦航空局(FAA)の規定では、座席数50席ごとに1人の客室乗務員を配置する必要があるため、152席の場合は最低4人が必要です。さらに、同機のビジネスクラスには扉が採用されているため、緊急時の扉の操作要員としてFAAから追加で1名の配置が義務付けられており、計5名の乗務員が必要となる計算でした。
そこでユナイテッド航空は、エコノミークラスの中間席2席に専用テーブルを固定し、座席数を150席に抑えることで、法律上義務付けられる客室乗務員の最低人数を5名から4名へと減らすことが可能になります。
航空会社にとって、燃費が良いとはいえ一度の飛行で運べる人数が少ないナローボディ機を長距離路線で運航する際、コスト管理は至上命題となります。2座席分のチケット販売収入を放棄してでも、高騰する人件費を抑えるために客室乗務員を1名減らす方が、中長期的な経済メリットが大きいとの計算が働いていると考えられます。画期的な新シートの導入は、徹底した合理化とコスト削減の産物と言えそうです。Photo : United Airlines




