欧州航空業界を牽引するライアンエアー・グループは、マイケル・オレアリー最高経営責任者(CEO)との契約を少なくとも2032年4月まで延長すると発表しました。1994年の就任以来、経営難に陥っていた同社を欧州最大のLCCへと押し上げた同氏の在任期間は、これで40年近くに及ぶことになります。この契約延長は、同社が記録的な利益と旅客数を達成し、さらなる成長を見据える中で決定されました。
現在、ライアンエアーの業績は好調です。直近の通期決算では、税引後利益が前年比約40%増の22億6000万ユーロを記録し、年間旅客数も約2億800万人に達しました。徹底したコスト管理や付帯収入の強化に加え、ピーク時には96%にも達する極めて高い搭乗率を維持していることが、この飛躍的な好業績を支えています。
今回の契約延長で最も注目を集めているのが、約1000万株分にのぼるストックオプションを含む新たな報酬パッケージです。これは単に自社株が無条件で譲渡されるというものではなく、会社を劇的に成長させた場合にのみ得られる「成功報酬型ボーナス」の権利を意味しています。オレアリーCEOがこの権利を行使し、あらかじめ設定された安価な価格で自社株を購入するためには、「年間税引後利益40億ユーロの達成」、あるいは「株価42ユーロを28営業日連続で維持する」という、極めて難易度の高いノルマのいずれかをクリアしなければなりません。
仮に同氏が経営手腕を発揮してこの厳しい条件を達成し、株価を目標値まで引き上げることができれば、取得した株式を市場価格で売却することで得られる利益は最大で1億5000万ユーロ(約250億円)規模にのぼると試算されています。株主側から見れば、CEOが自らの巨額報酬のために死に物狂いで会社の利益と株価を向上させてくれるのであれば、このインセンティブを支払う価値は十分にあるという、極めて合理的な狙いが込められた契約となっています。
オレアリー体制の継続は、同社の強気な機材戦略と路線拡大をさらに盤石なものにします。現在運航している620機のボーイング737型機はすべて自社保有であり、実質的な無借金経営を実現している点は同社の大きな強みです。現在はボーイング737MAX8-200の受領を進めているほか、将来的には最大300機の737MAX10の導入も控えています。航空機メーカー側の納入遅延という懸念材料はあるものの、ライアンエアーは2034年頃までに年間旅客数3億人体制を構築する計画を掲げています。燃料費の高騰などにより欧州LCC業界の再編が進む中、強固な財務基盤と徹底した成果主義に裏打ちされた同社は、今後も競合他社を大きく引き離していくと予想されます。Photo : Ryanair



