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エアバスの巨大輸送機「ベルーガST4号機」、トゥールーズのアエロスコピア博物館で常設展示に向け移送 1999年には東京に名画を空輸する大役

 エアバス社は24日、同社の航空機製造を長年にわたって支えてきた巨大輸送機「ベルーガST(A300-600ST)」の4号機(登録記号:F-GSTD)が、トゥールーズのアエロスコピア博物館に常設展示されることになったと発表しました。約30年にわたる運用を終えた同機は、コンコルドや先代の輸送機スーパーグッピー、A380といった歴史的名機のコレクションに加わり、航空の歴史を後世に伝える新たな任務に就くこととなります。

 1995年に就航したベルーガSTは全5機が製造され、ヨーロッパ各地に点在する製造拠点で造られた主翼や胴体などの大型部品を最終組立工場へとつなぐ、エアバスの生産体制において不可欠な役割を担ってきました。大人のザトウクジラの重量に匹敵する40トンもの積載能力を誇り、その愛らしい特異なフォルムで世界中の航空ファンから親しまれました。今回博物館の目玉として移された4号機「タンゴ・デルタ」は、2025年12月18日に機齢27年を迎えていました。

 通常の部品輸送にとどまらず、ベルーガSTは数々の特殊なミッションでも活躍してきました。特に日本の航空ファンにとって語り草となっているのが、1999年の東京への飛来です。フランスの画家ウジェーヌ・ドラクロワの世界的名画である巨大なキャンバス作品『民衆を導く自由の女神』(縦2.99メートル、横3.62メートル)を、パリから東京へ空輸する大役を担いました。この絵画は厳密な環境管理ができる特製の巨大な専用コンテナに収められましたが、通常の大型貨物機では貨物ドアのサイズが足りず搭載できなかったため、機首が大きく上に開き、規格外の貨物スペースを持つベルーガSTに白羽の矢が立ちました。これにより、名画は無事に海を渡り、東京での歴史的な展示が実現しました。

 このほかにも、国際宇宙ステーション(ISS)の「コロンバス」実験棟や大型通信衛星の輸送を担当したほか、2003年にはヘリコプター3機をオーストラリアへ運ぶための当時の最長チャーター飛行(25時間)を達成するなど、航空史に数々の記録を残しています。

 工場から博物館へと機体が移される様子は、エアバスの従業員や地元の航空コミュニティ関係者による温かい歓迎をもって見守られました。エアバスの全輸送業務を管理する子会社、エアバス・トランスポート・インターナショナル(ATI)の責任者であるジャン=ピエール・クースラン氏は、「この機体は、50年以上にわたりエアバスを定義づけてきた産業の遺産と、卓越した技術力の真の証です。未来のパイロットやエンジニア、すべての航空愛好家にインスピレーションを与えるためトゥールーズに留まることは、私のキャリアにとっても最も報われる出来事の一つです」と語りました。

 エアバスは2025年の段階でベルーガSTシリーズの退役計画を発表しており、今年2026年1月には5号機がイギリスのブロートン工場へと移され、STEM(科学・技術・工学・数学)教育のための支援施設として生まれ変わっています。今後のエアバスの部品輸送は、より大型の次世代機「ベルーガXL」全6機体制へと完全に引き継がれており、2027年半ば以降は同機が単独でヨーロッパ11拠点間の空の物流を担っていく予定です。Photo : Airbus

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