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「飛ぶ」という言葉を巡る法廷闘争 欧州LCCボロテア、ITAエアウェイズを商標侵害で提訴

 スペインのLCCのボロテアが、イタリアのITAエアウェイズに対し、「Volare(ボラーレ)」という名称の商標権侵害を理由に欧州司法裁判所へ提訴したことが明らかになりました。ボロテアは同名称の使用停止に加え、過去の無断使用に対する損害賠償として45万ユーロ(約7,800万円)の支払いを求めています。

 ボロテアは日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、スペインを拠点に欧州の地方都市間をダイレクトに結ぶ独自の路線展開で急成長を遂げている有力LCCです。大手航空会社がハブ空港を経由させるような地方都市同士のルートを直行便で結び、新たな需要を開拓するビジネスモデルで存在感を放っています。同社は自社が保有する「Volare」の登録商標を、ITAエアウェイズがマイレージプログラムやデジタルマガジンの名称として無断使用したと主張し、今回の強硬措置に踏み切りました。

 争点となっている「Volare」は、イタリア語で「飛ぶ」を意味するごく一般的な動詞であり、世界的に親しまれているイタリア歌曲のタイトルとしても広く知られています。航空業界においてあまりにも日常的に使われる普遍的な単語の独占を巡るこの訴訟は、現地メディアや業界関係者の間に大きな驚きと困惑をもって報じられています。

 さらに、この訴訟にはある種の皮肉な背景が存在します。ITAエアウェイズのマイレージプログラム「Volare」は、すでに実質的な終了の道を歩んでいるのです。ITAエアウェイズは現在、ルフトハンザグループへの本格的な合流プロセスを進めており、それに伴い自社のマイレージプログラムをルフトハンザ系の「Miles & More(マイルズ&モア)」へと完全に移行させています。そのため、ボロテアが求めている「名称の使用停止」という要求自体は、すでに自然消滅という形で完了しつつあるのが実情です。

 今回の裁判の最大の焦点は、すでに役割を終えつつあるプログラムの「過去の使用」に対して、45万ユーロという損害賠償請求が法的に認められるかどうかに絞られると見られています。両社は今年4月にコードシェア協定を結び、イタリア国内線などで協力関係を築いたばかりでした。欧州の空を巡る異例の「商標戦争」の行方に、引き続き注目が集まります。Photo : ITA Airways Volotea

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