エアバスは2026年7月2日、「A220」の就航10周年を記念する特集記事を公開しました。カナダのボンバルディアが「Cシリーズ」として開発をスタートさせてから現在に至るまでの軌跡と、さらなる進化に向けた今後の展望が総括されています。

A220の歴史は、既存機の改良ではなく、真っ白な図面から全く新しい航空機を設計する「クリーンシート・デザイン」という野心的な挑戦から始まりました。開発当時は、日本の次世代旅客機「MRJ(後の三菱スペースジェット)」などとも市場を巡って激しい受注競争を繰り広げたことでも知られています。開発には多くの困難が伴いましたが、テスト飛行用初号機には灰の中から蘇る「フェニックス(不死鳥)」の愛称が付けられ、プロジェクトの不屈の精神を象徴しました。そして2016年7月15日、ローンチカスタマーであるスイスインターナショナルエアラインズのチューリッヒ発パリ行きフライトにおいて、ついに初の商業運航を開始したのです。

2018年にエアバスの製品ラインナップに加わって以降、A220はその優れた燃費効率と圧倒的な静粛性から「ウィスパージェット」の異名を取り、市場で確固たる地位を築いてきました。これまでに世界5大陸・25の運航会社によって運用され、各航空会社の新たなネットワークの開拓に大きく貢献しています。累計受注数は1,000機を突破し、2億4,000万人以上の乗客を輸送してきました。また、カナダ・ミラベル工場に加え、米国アラバマ州モービルにも最終組立ラインが新設されるなど、グローバルな生産体制も強化されています。

就航から10年という節目を迎え、各社の今後の機材更新計画(を見据えた航空業界の関心は、同機のさらなる進化、とりわけストレッチ型(胴体延長型)の投入へ向かっています。現在、A220ファミリーは標準型の「A220-100」と延長型の「A220-300」で構成されていますが、今後、さらなる大型化を図った「A220-500」が開発される可能性が高いとみられています。
エアバス関係者はこれまでにも将来的なラインナップ拡充を示唆しており、もしA220-500がローンチされれば、ナローボディ機の主力である150〜170席クラスにおいて、自社のA320neoやボーイング737MAXなどと競合する新たな選択肢となります。既存の客室仕様がエアバス共通の「Airspace」デザインに統合されるなど、常に最新技術を取り入れる前提で設計された同機にとって、派生型の追加は自然な流れと言えます。
白紙から描かれた次世代機のビジョンは、10年を経て航空業界に定着しました。しかし、特集記事で関係者が「旅はまだ始まったばかり」と語る通り、A220プログラムは今後もさらなる拡大と進化を遂げていくことになりそうです。Photo : Airbus
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