欧州の格安航空会社(LCC)最大手であるイギリスのイージージェットは5日、アメリカの投資会社キャッスルレイク(Castlelake)による55億ポンド(約1兆1,100億円)規模の買収提案に基本合意したと発表しました。これにより、イージージェットはロンドン証券取引所での上場を廃止し、非公開企業として経営再建を進める見通しです。背景には、地政学リスクの緊迫化に伴う燃料高と業績悪化があり、巨額の資金力を持つ投資ファンドの傘下に入ることで、中長期的な立て直しを図る決断を下したとみられます。
イージージェットの経営を揺るがした最大の要因は、アメリカ・イスラエルとイランの衝突に伴う原油価格の急騰です。航空燃料コストが急増したことに加え、緊迫する地政学リスクから旅行マインドが冷え込み、予約数が減少しました。欧州最大手のライアンエアーやウィズエアーといった競合との熾烈な運賃競争が続く中、マクロ経済の激変が大きな追い打ちとなりました。さらにLCCの競争力に直結する、燃費性能の高い最新鋭機(エアバスA320neoファミリーなど)への機材更新には巨額の設備投資が不可欠ですが、業績が不安定な中で上場市場から資金を調達し続けることには限界が生じていました。
今回キャッスルレイクが提示した1株あたり6.90ポンドという買収額は、直前の終値(5.58ポンド)に対して約24%の上乗せとなります。イージージェットはこれまで、「企業価値を過小評価している」として過去の提案を拒否してきましたが、条件が引き上げられたことで最終的に合意へ至りました。この合意により、現在も同社株の15%以上を保有する創業者のステリオス・ハジ・イオアヌ氏一族は、約8億ポンド(約1,600億円)を手にする見込みです。短期的な株価対策や配当を求める一般株主の視線から解放されることで、同社は中長期的な視点での抜本的な経営改革に着手できるようになります。
買収元であるキャッスルレイクは、航空機リース事業を専門とする投資ファンドです。同社はイージージェットが進める機材近代化を全面的に支援する方針を示しており、自社の持つ航空機ポートフォリオを活用して省エネ機材への移行を加速させ、最大の課題である燃料コストの削減を狙います。また、外資による支配を制限するEUの航空規制をクリアするため、キャッスルレイクは欧州持ち株会社を設立するスキームを用意しています。今後は詳細な条件交渉と当局の承認手続きが進められる予定です。Photo : easyjet




