ボーイングが、開発中の次世代大型ワイドボディ機「777X」ファミリーのカタログスペックを、公式アナウンスなしに密かに書き換えていたことが分かりました。ウェブアーカイブの履歴によると、2026年6月中旬以降に公式サイト上の仕様が変更されており、短胴型の「777-8」および長胴型の「777-9」の航続距離がそれぞれ700海里(約1,300km)以上、大幅に上方修正されています。

具体的には、777-8の航続距離が従来の8,745海里(16,190km)から9,500海里(17,590km)へ延長され、777-9も7,285海里(13,500km)から8,000海里(14,820km)へと引き上げられました。現在までにボーイングから、中央燃料タンクの追加といった機体構造の物理的な改修やエンジンの改良に関する発表は行われていません。

今回の性能向上の背景には、これまで固定されていた想定座席数を幅を持たせた表記へ変更したことが挙げられます。2クラス仕様における座席数の前提が、777-8では従来の395席から350〜425席へ、777-9では426席から375〜450席へと下限が引き下げられました。つまり、機体重量や乗客・貨物の積載量の前提を従来よりも軽く見積もった状態のデータを採用したことで、理論上の航続距離を大幅に伸ばした形です。
このサイレントアップデートは、近年需要が高まっている超長距離路線市場におけるマーケティング戦略の転換を意味していると考えらえます。特に777-8の新航続距離である17,590kmは、カンタス航空がロンドンやアメリカ東海岸への直行便「プロジェクト・サンライズ」用として選定し、先月中に初飛行を終えたライバル機、エアバスA350-1000ULRの約10,000海里(公式スペックで約18,000km強)との差を大きく縮めるものです。
開発初期の777Xは、生産終了となったエアバスA380やボーイング747-8の代替となる大量輸送機としての側面が強調され、詰め込める座席数の多さがアピールされていました。しかし、市場のトレンドがプレミアムキャビンの拡充や、主要都市間を乗り継ぎなしで結ぶ直行便へと移行する中、実運用に即したプレミアム仕様での長大な航続距離を提示する方が、航空会社への強い訴求力になると判断したとみられます。型式証明の取得遅延が続く777Xプログラムですが、今回ペーパー上で示された新たなポテンシャルは、今後の受注活動においてエアバスに対する強力な対抗カードとなりそうです。
エミレーツ航空が開発を要望しボーイングが検討している777-10は777-9を5m延長しエコノミークラスを50席増加が可能も課題が存在




