2026年7月4日、香港発ロンドン・ヒースロー行きのキャセイパシフィック航空CX257便(A350型機)が、ルーマニア上空を飛行中に現地の航空管制との通信を一時的に喪失する事案が発生しました。この事態を受け、NATOの警報が発動され、ハンガリー空軍の戦闘機が緊急発進して同機に対するスクランブル発進を実施しました。
通常、民間機の通信途絶は無線周波数の設定ミスや機材の不具合などで稀に発生する事象ではありますが、今回直ちに戦闘機が発進した背景には現場空域の特異な地理的条件があります。当該機が飛行していたルーマニア上空はウクライナの紛争地域に近接しており、周辺ではGPS信号の妨害なども報告されている極めてセンシティブな空域です。そのため、NATO側は安全保障上の万全を期し、即座に目視での状況確認に踏み切ったものとみられています。
ハンガリー国防相の発表によると、戦闘機によるスクランブル発進の直後にCX257便の通信は無事に回復しました。同機は承認された当初の飛行ルートを逸脱することなく飛行を継続し、最終目的地であるロンドン・ヒースロー空港には定刻通り無事に到着しています。
本件を受け、香港の民間航空局(CAD)は事態を重く見ており、キャセイパシフィック航空に対して事案発生から1週間以内に詳細な調査報告書を提出するよう命じました。現在、社内および関係当局において通信喪失の具体的な原因究明が進められており、今後の詳細な報告が待たれる状況となっています。Photo : Airbus
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