政府は13日、成田空港およびその周辺地域における産業基盤整備を「国家プロジェクト」として推進するため、関係府省庁による第1回連絡会議を開催しました。インバウンド需要の急増と国際物流拠点としての重要性の高まりを受け、滑走路の延伸や新貨物地区の整備、周辺道路・鉄道ネットワークの強化を省庁横断で推し進めます。
成田空港は、インバウンド最大のゲートウェイであり、金額ベースで日本最大の貿易港としての顔を持っています。政府は2030年に訪日外国人旅行者数6,000万人を目指すなかで、首都圏空港における年間発着容量を約100万回に引き上げる目標を掲げています。その中核となる成田空港においては、年間発着容量50万回への拡大を見据えた「第2の開港」ともいえる大規模な機能強化が急務となっています。

13日に国土交通省で開かれた連絡会議には、金子恭之国土交通大臣が議長として出席し、関係各省の幹部が一堂に会しました。会議では、滑走路整備にとどまらず、税制・関税面での特例措置や国家戦略特区の活用を通じた周辺地域の産業集積など、国が主導して強力に推進していく方針が確認されました。
■B滑走路の延伸とワンターミナル化の推進
空港機能の抜本的強化として、現在2,500メートルのB滑走路を3,500メートルへ延伸する工事が進められており、2029年度内の先行供用を目指す方針が示されました。これにより、大型機の離陸制限が解消され、長距離便や貨物便の新規就航・増便が容易になることで、経済安全保障上の物流安定化にも大きく寄与すると期待されています。また、新設されるC滑走路(3,500メートル)についても、用地取得を含めた整備の加速が図られます。

旅客施設については、既存のターミナルを段階的に再編し、最終的に「集約ワンターミナル方式」によるロングピア型の新施設への移行を目指します。新ターミナルは、京成線やJR線の高架新駅と直結され、利用者の動線を直感的で分かりやすくするとともに、高い滞在価値を提供する商業施設やオフィス機能も併せ持つ複合的な空間となる予定です。
■国際航空物流ハブと周辺地域の産業集積(エアポートシティ)
物流機能の面では、新貨物地区の整備と隣接地との一体的な運用(総合保税地域化など)により、世界最先端の効率的な航空物流拠点の形成を図ります。さらに、慢性的な人手不足に対応するため、国家戦略特区を活用し、空港敷地外の事業者であっても特定技能(航空物流分野)の外国人材を受け入れ可能とする特例措置が導入されました。
周辺地域においては、「SORATO NRT(エアポートシティ構想)」のもと、先端産業やライフサイエンス、観光リゾート拠点の形成が進められています。既に民間企業による大型物流施設の開発や、航空関連企業による大型エンジン試運転施設(テストセル)の設置検討が進むなど、産業拠点の集積に向けた動きが活発化しています。加えて、農林水産物の輸出拠点化に向けて、空港内での衛生証明書発行の迅速化やコールドチェーンの確立を図り、全国の産地から世界へ直結するネットワークの構築を支援します。
■シームレスな交通アクセス網の整備へ
空港のポテンシャルを最大限に引き出すため、広域アクセスの強化も重要な柱に位置付けられました。鉄道面では、都心や羽田空港への直通運転を見据え、京成電鉄による新型有料特急の導入や、成田スカイアクセス線の高架新駅整備、単線区間の複線化などを推進します。
道路ネットワークについては、圏央道(大栄JCT〜多古IC間)の2026年秋頃の開通や、成田空港周辺IC(仮称)の整備に加え、北千葉道路や新湾岸道路の整備を加速させます。これにより、都心部とのアクセス向上だけでなく、全国各地の産業拠点や羽田空港とを結ぶシームレスな物流・人流の確保を目指します。
■今後の展望
政府は今後、関係府省庁連絡会議の下に設置された幹事会を定期的に開催し、各省庁の取組の進捗を厳格に管理していきます。概算要求や予算成立のタイミングに合わせて連絡会議を開催し、「国、地元自治体、空港会社」が一体となったオールジャパン体制で、成田空港を核とした国際競争力の強化と地方創生の実現に取り組む構えです。
成田空港、3,500m化するB滑走路延伸部に並行誘導路を整備し2029年度に先行供用へ 着陸は当面2,500m運用を維持




