オランダのフラッグキャリアであるKLMオランダ航空とオランダ国防省は、戦略的パートナーシップを一段と深め、国家の防衛力および航空産業の持続可能性を強化する新たな取り組みを発表しました。
両者の協力関係は、2025年に締結された民間と軍の航空連携を強化するための覚書に基づくものです。今回の発表における最大の焦点は、KLMの現役民間パイロット6名がオランダ王立空軍の予備役として、最新鋭ステルス戦闘機であるF-35の操縦任務に就く点にあります。さらに、1名のKLMパイロットが9月よりアメリカのテキサス州へ派遣され、4年間にわたり未来の戦闘機パイロットを育成する教官としての任に就くことも決定しました。
この画期的な枠組みにより、パイロットは民間航空会社でのキャリアを維持しながら軍の任務に従事することになります。オランダ国家としては、国内の高度な航空専門人材を流出させることなく確保し、有事や緊急時における空軍の運用能力を柔軟かつ迅速に拡張することが可能となります。
両機関の協力は、人員の相互活用のみならず、整備技術や環境分野にも及んでいます。「HYPERIONプロジェクト」のもと、9月からは7名のKLM整備士が空軍で防衛用ヘリコプターの整備訓練を開始します。民間技術者が培ってきた経験とノウハウを軍事機の整備に活用し、データ駆動型の整備プロセスや運用の効率化を図る狙いがあります。
施設の運用においても、新たなリソース共有の形が模索されています。KLMがスキポール空港周辺に有する既存の民間インフラを軍事機の整備拠点として活用する検討が進められているほか、将来的な専用軍事整備拠点の新設なども視野に入れられています。このような官民が一体となった革新的なパートナーシップは、技術、人材、インフラのすべてを統合的に運用することで、現代の複雑な安全保障環境に対応しつつ航空産業の持続可能性を高める新たなモデルケースとして、世界の航空業界から熱い視線を集めています。Photo : Ministerie van Defensie




