ボーイングは7月16日、開発中の次世代大型ワイドボディ機「777-9(777X)」について、エバレット工場で実施しているフルスケール疲労試験の最新状況を公開しました。現在、試験は極めて順調に推移しており、すでに設計寿命の1回分を優に超える6万3,000フライトサイクルを突破しています。この「フライトサイクル」とは、離陸から着陸までを1回とする機体稼働の単位であり、主に上空での与圧による胴体の膨張・収縮がもたらす構造疲労の指標となるものです。最終的には、設計寿命の3倍に相当する12万サイクルの完了を目標としています。




この試験の最大の特徴である「フルスケール」とは、主翼や胴体といった部品ごとの単体テストではなく、工場で実際に組み立てられた完成状態の実機を丸ごと一機用いて行うことを意味します。試験機には、4号機が使用されており専用のテストリグに組み込まれたこの巨大な機体は、タキシングから離陸、上昇、巡航、降下、着陸に至る「ゲート・トゥ・ゲート」の完全なフライトプロファイルをシミュレートしています。主翼への反復的な荷重負荷や胴体への与圧サイクルを実機同様に再現し、無数のセンサーを用いて機体構造の疲労耐性をミクロレベルで検証しています。
シミュレートされるフライトプロファイルは、平穏な短距離路線から、山岳地帯上空での雷雨遭遇などを想定した高負荷の長距離路線まで、5段階で構成されています。これを24時間体制で稼働させ、1日平均約160サイクルを消化することで、数十年に及ぶ実運用での蓄積疲労をわずか数ヶ月に圧縮してシミュレーションしています。
この実機を用いた疲労試験は単なる安全性の証明以上の意味を持ちます。総仕上げとなる本試験は、就航後のメンテナンス間隔(インターバル)の設定や、効果的な非破壊検査手法の確立に直結します。実際の運用環境を大きく超える過酷なテストをあらかじめ完了させることで、導入予定のエアラインは運用初期から予見性が高く、定時性を担保できる実務的な整備プログラムを構築できるようになります。
777-9チーフプロジェクトエンジニアを務めるトレシャ・ラコー副社長は、「私たちは学習のためにテストを行っています。航空会社に対し、予測可能で信頼できる指針を提供し、彼らのオペレーションをスケジュール通りに進められるよう支援することが目的です」と述べています。次世代の世界の長距離国際線を担う機材として、引き渡し後の高い稼働率と整備コストの最適化を裏付けるため、現在もエバレットで昼夜を問わず実証が続けられています。Photo : Boeing Patrick Rodwell
エミレーツ航空が開発を要望しボーイングが検討している777-10は777-9を5m延長しエコノミークラスを50席増加が可能も課題が存在




