ボーイングは、次期大統領専用機(エアフォース・ワン、VC-25B)について、計画が軌道に乗り始め、2028年に2機を納入する見通しであることを明らかにしました。これは、同社ディフェンス・スペース&セキュリティ部門のスティーブ・パーカーCEOが明らかにしたもので、2027年には初号機の飛行試験が開始される予定です。
2018年に結ばれた当初の固定価格契約では2024年12月の納入を目指していましたが、結果的に約4年の遅れと大幅なコスト超過を招いています。ボーイングにとってこのプロジェクトは、民間機である747-8をベースに、高度な防衛システムや大統領向けの特殊な通信機器を組み込むという前例のない難作業でした。
開発遅延の背景には複数の要因が絡み合っています。極限状況下での安全を確保するための環境制御システムや減圧保護機能の認証プロセスが予想以上に長期化していることに加え、コロナ禍によるサプライチェーンの混乱が直撃しました。特に、内装や配線を担う重要サプライヤーであったGDCテクニクス社の経営破綻は致命的で、設計のやり直しや新たな代替サプライヤーの確保を余儀なくされました。さらに、こうした複雑な改修作業を遂行できる高度な専門技術を持つメカニックの確保と定着にも苦戦しており、それが工期とコストを圧迫し続けています。
ボーイングは現在の2028年という新納期について自信を示しているものの、プロジェクト自体の難易度が極めて高いことから、一部の関係者からは「実際の引き渡しは2029年以降にずれ込むのではないか」と懸念する声も根強く残っています。次期エアフォース・ワンの動向は、米国の威信のみならず、防衛・宇宙部門におけるボーイングの遂行能力を測る試金石としても、引き続き強い関心を集めることになりそうです。Photo : U.S Air Force




