総2階建ての超大型旅客機エアバスA380型機を用いた長距離路線の展開を目指すイギリスのスタートアップ企業、グローバル航空の動向に厳しい視線が注がれています。同社に対し、債権者から英裁判所への「強制清算(Winding-up petition)」が申し立てられたことが表面化しました。

英官報などの記録によると、債権者による強制清算の申し立ては2026年5月末に高等法院へ提出されました。同年7月の初回審理を経て、直近の9月2日にもさらなる審理が行われています。この法的手続きは直ちに企業の倒産や事業停止を意味するものではありませんが、未払い債務の存在と深刻な資金繰りの悪化を強く示唆しています。いまだ定期便の運航開始に至っていない新規参入の航空会社にとって、債務不履行を理由とした法的手続きが進められている事実は、就航計画の根幹を揺るがす極めて重大な懸念材料といえます。
こうした財務面での不安に加え、事業の核となる機体の整備が全く進展していないという運用上の実態があります。同社が受領した初号機(9H-GLOBL)は、2025年5月にグラスゴーからニューヨークへ向けて数回のフライトを実施して以降、現在に至るまで1年以上もの間、フランスのタルブ・ルルド・ピレネー空港に駐機されたままとなっています。
A380を運航ラインに復帰させるためには、莫大な費用と専門の施設を要する「重整備」を完了させる必要があります。しかし、同社が整備スロットを確保し、実際の改修作業を進めている形跡は確認されていません。経営陣はこれまでにも就航目標の延期を繰り返しており、長期間にわたって機体が地上に留め置かれている現状と、同社がアピールする野心的な事業展望との間には大きな乖離が生じています。
巨大なキャパシティを持つA380の運航には、高い搭乗率の維持と膨大な運用コストを賄うだけの強固な収益基盤が不可欠です。独自の路線網を持たない新興企業が、初期費用や燃油費の重いA380で長距離国際線市場に単独で挑むというビジネスモデルに対しては、業界関係者から当初より強い懐疑論が寄せられていました。機体の維持費が燃焼し続ける中で法的な清算リスクまで顕在化したことで、このまま一度も定期商業フライトを行うことなく「幻の航空会社」として計画が頓挫するのではないかという見方が急速に広がっています。Photo : Global Airlines



