エアバスは現地時間2026年9月14日、次世代大型貨物機である「A350F」の初飛行に向けた準備状況を公開しました。同社は過去5年にわたる詳細な計画やコンポーネントテストを経て、現在、約400時間に及ぶ飛行試験の開始に向けた最終段階を迎えています。

A350FはベースとなるA350-1000の単なる派生型にとどまらず、前部胴体にA350-900の仕様、後部胴体および主翼にA350-1000の仕様を組み合わせた独自の機体設計を持っています。これにより新たな空力モデルが形成され、降着装置の形状変更によって地上での操縦性も変化するため、航空機全体のシステム挙動を詳細に再確認する必要があります。


実際の飛行に先立ち、シミュレーターを用いた「バーチャル初飛行」が実施されました。1回約5時間のセッションが計13回行われ、実際の機体のアビオニクスやデジタルエンジン制御システムと接続された環境下において、物理的な機体の90%を再現した検証が行われています。また、実機を用いた地上での準備も着々と進んでおり、今年6月には機体の構造モデルを構築するための地上振動試験が完了しました。今後は高度2万フィートでの減圧手順を想定した貨物室の火災・発煙検知システムの作動テストなども実施されます。
今後の飛行試験は約9ヶ月間を予定しており、役割の異なる2機のテスト機(MSN700およびMSN701)が投入されます。MSN700は主に空力性能、操縦性、オートパイロットシステムの検証を担当し、尾部には離陸性能テスト時の機体保護用スキッドが装備されます。同機が飛行制御の検証をクリアした後、MSN701が空調や火災・発煙テストなどのシステム関連、および過酷な気象条件(高温・低温)での環境テストを担当します。


また、各エアラインが自社のULD(航空貨物用コンテナ)やパレットを用いて積み下ろし手順の検証を行う機会も設けられます。欧州航空安全機関(EASA)はすでに飛行試験計画の策定・承認段階から深く関与しており、2027年に予定されている正式な型式証明(TC)取得に向けて、万全の体制でプログラムが推進される見通しです。Photo : Airbus




