米国連邦航空局(FAA)は、ボーイングが大型貨物機「777F」の生産を、当初の計画から3年延長し、最長2031年初頭まで継続することを承認する特例措置を決定しました。これによりボーイングは、後継機の開発遅延による市場への供給ギャップを埋める道筋を確保しました。
今回の決定の背景には、2024年2月にバイデン政権下で採択された厳しい航空機排出ガス規制があります。この規制により、2028年以降に登録される機材で一定の燃料性能をクリアできないものは、新たに耐空証明を取得できなくなります。ボーイングは新規制をクリアする次世代貨物機「777XF(777-8F)」の開発を進めていましたが、旅客型の「777X(777-8)」の開発が遅延した影響で、貨物型の納入開始も2029年頃にずれ込む見通しとなっていました。
ライバルのエアバスが「A350F」の納入を2027年内に予定していることによる競争上の懸念や、既存貨物機の老朽化によるリスクが指摘される中、新規の貨物機を納入できない空白期間が生じる事態を避けるため、ボーイングは2025年12月にFAAへ適用除外を申請していました。
FAAが2026年9月15日に署名した決定文書によると、この要請が受け入れられ、2028年1月1日から2031年1月1日までの期間において、最大35機の新造777Fについて初期耐空証明の取得を認める特例が承認されました。
FAAが特例を承認した要因として、大型貨物機市場の実情と経済への影響が挙げられます。ボーイングは、現在生産されている唯一の大型ワイドボディ貨物機である777Fの供給が途絶えれば、eコマースの成長や海上輸送の課題を背景に逼迫する航空貨物業界において深刻な供給不足を招くと主張していました。さらに、生産が途切れることで、150億ドル以上の米国輸出額が失われ、10万人以上の雇用を支える777プログラム全体に影響が及ぶと訴えていました。
また、環境面での影響についても、FAAは独自の分析を実施しました。仮に追加の35機が市場に投入されても、米国の全商業運航による燃料消費量に与える影響は1%未満のわずかな割合にとどまると結論付け、ボーイング側も、777Fの追加生産が認められず航空会社がより旧型で燃費の劣る747-400Fなどに頼るようになれば、結果的に二酸化炭素排出量は増加すると指摘していました。
今回の免除措置はあくまで米国での製造と初期耐空証明の発行に関するものであり、対象機は最大35機に制限されます。またFAAは、これらの機体が米国外で運航される場合、外国の民間航空当局からの承認取得や、国際民間航空機関(ICAO)基準への準拠を証明する責任は、ボーイングではなく運航会社側にあることを条件として明記しています。
今回の決定により、ボーイングは次世代機777-8Fの実用化までのつなぎを確保し、追加受注に向けた余裕を得たことになります。Photo : Boeing
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