アイルランドのLCC大手であるライアンエアーのマイケル・オリアリー最高経営責任者(CEO)が、競合するフルサービスキャリア(FSC)の高額な運賃設定を「強姦魔(rapist)」に例えた発言を巡り、国内外から激しい批判を浴びて公式に謝罪する事態となりました。
発端となったのは、2026年9月10日にダブリンのライアンエアー本社で行われた記者会見での発言です。自社の低運賃戦略の優位性をアピールする中で、オリアリーCEOはブリティッシュ・エアウェイズやエア・リンガス、ルフトハンザ・ドイツ航空などの競合大手キャリアを名指しし、「彼らのような『高額運賃の強姦魔』と一緒に飛ぶ余裕のない乗客が、ライアンエアーに殺到するだろう」と発言しました。会見の場で記者から言葉遣いの適切さを問われた際も、同氏は「全く問題ない」と開き直り、発言の撤回を拒否していました。
この発言に対し、性暴力被害者支援団体が即座に猛反発しました。「重大な犯罪をビジネスの比喩として軽々しく扱うことは被害者に深刻な害を及ぼす」「極めて不快な発言だ」として公式な謝罪を強く要求したのです。さらに同団体は、言葉の重みと社会的影響を理解させるための個別トレーニングの受講を提案するなど、抗議の声は急速に拡大しました。
当初、ライアンエアー側は批判に対して沈黙を守っていましたが、世論の反発が高まり続けたことを受け、発言から約1週間後の18日にオリアリーCEOがビデオメッセージを通じて異例の公開謝罪を行いました。同氏はビデオの中で、「家族や友人との対話を通じ、軽率に使った言葉が多くの人々、とりわけ被害者などに大きな苦痛と不快感を与えたことを痛感した」と説明し、「不用意な発言により傷つけてしまった方々に心から深くお詫び申し上げたい。二度とこのようなことは起こさず、今回の過ちから学び改善に努める」と陳謝しました。
過激な毒舌や競合への辛口批判で知られるオリアリーCEOですが、ビジネス上の不満に対して同表現を用いたのは今回が初めてではなく、過去にもロンドン・スタンステッド空港の施設利用料を批判する際に同様の言葉を使用した経緯があります。同氏を巡っては今月初め、業績目標の達成を条件に2032年4月まで続投するための最大1億5000万ユーロ規模のインセンティブ制度が承認されたばかりでしたが、今回の舌禍騒動はトップとしてのコンプライアンスや倫理観を改めて問われる形となりました。Photo : Ryanair



