国土交通省は、国内エアラインの国内線事業が急速に悪化している現状を踏まえ、2026年5月を目安に対策をとりまとめる計画です。
同省は、本年5月30日に有識者会議を行い、航空会社からのヒアリングを行うなどして、その後議論がなされていますが、既報の通りANAやJALからは、危機感を持った訴えがあり、ANAは国内線ネットワーク維持に向けた構造改革は待った無しの状況で、日本の人口減少による総需要の縮小や地上交通(新幹線)の発展を踏まえれば、国内線事業はビジネスの転換期を迎えているあると主張しています。
現在国内線市場を取り巻く環境は大きく変化しており、コロナ禍を契機に需要構造が変化し、比較的高単価のビジネス目的の旅客が減少したまま依然としてコロナ禍前の水準まで回復せず、世界的な物価高や円安の影響による燃料費 、整備費等の外貨建てコストの増大等を背景に、国内線事業の費用は大幅に上昇しているほか、世界的な燃料需要増、産油地域での治安悪化等により、航空機燃料の価格は大幅に上昇しています。

Photo : 国土交通省
この影響を受け国内主要6社の国内線事業に関しては、旅客数はコロナ禍前と同水準まで回復しているものの、空港使用料の減免、航空機燃料税の軽減、航空機燃料の激変緩和事業などの公租公課の軽減効果を除いた実質的な営業損益では赤字に転落し、特に国内専業の航空会社は厳しい経営状況となっています。
実際に主要6社では、依然として、営業利益率がコロナ前の水準まで回復しておらず、主に国内専業の中堅4社では、営業利益率はコロナ禍前の半分程度にとどまっている状況です。
このようなことから国交省は、このまま何も対応しなければ、国民生活を支える重要な交通手段である国内航空ネットワークが維持されず、利用者の利便が阻害されるおそれがあるとして、2026年5月を目安に対策をとりまとめる計画です。
なお同省は、あくまでも海外の参考例の一つとして、ヨーロッパでは利便性や効率性を向上させる観点から、ルフトハンザドイツ航空とドイツ鉄道、エールフランス航空とフランス国鉄、エミレーツ航空とフランス国鉄など、航空会社が高速鉄道事業者とコードシェアを行う動きが活発化していることや、フランス政府が列車を利用すれば2時間半以内で到達可能な都市間について、短距離航空便の運航を禁止した例を紹介しており、同省が将来的に国内エアラインと新幹線を協業させることについて検討している可能性も否定できません。



