エアバスは、現在A321LRの航続距離を更に延長したA321XLR(Xtra-Long Range)を開発を始めており、既に多くの受注に成功していますが、この最新鋭機を巡りボーイングは同機の安全性の問題を指摘しています。
まずA321XLRは、従来機よりも30%の燃費向上を実現し、航続距離はナロボディー機の世界最長航続距離の8,700kmを誇ることから、各エアラインからはゲームチェンジャーとなる機体として期待され、コロナ終息後にも人気を集めると予想されています。
Photo : Airbus
今回ボーイングが安全性の問題として指摘したのは、航続距離延長を実現するためにエアバスが採用する後部中央燃料タンク(RCT)となります。通常、航空燃料は、主に翼にある燃料タンクに搭載されていますが、A321XLRは胴体後方部分に至るところまで燃料を搭載することにより、航続距離の延長を実現します。
ボーイングは、このRCTが安全上問題があると指摘しており、胴体に配置されたこのような一体型燃料タンクは、構造的に分離された燃料タンクよりも冗長性が低くなるとし、外部を起因とする火災などの脅威にさらされると、より危険な結果をもたらす可能性があるとしています。また、滑走路外への着陸トラブルによる着陸装置の故障などにより、燃料タンクが危険に晒される可能性があるとしており、燃料タンクの至近距離に乗客が搭乗することを問題視している模様です。
EASA(欧州航空安全局)は、乗客の安全性を確保するためにA321XLRに対して、特別な条件を課すものとみられ、エアバスは安全審査において、ボーイングが指摘したような問題を対処することが求められます。
現在までに同機は、24の顧客から450機以上を受注しており、初飛行は2022年に実施し2023年の納入を予定しています。なおエアバスは新型コロナウイルスの感染が広がる以前に、1,000機以上の受注を獲得することができるとの自信を示していました。参考記事:Bloomberg