国土交通省は、国内エアラインの国内線事業が急速に悪化している現状を踏まえ、2026年5月を目安に対策をとりまとめる計画です。
現在この対策案をまとめるために有識者会議が計2回行われ、これまでに国内エアライン各社からヒアリングを行うなどして、各社の現状や課題などが明らかにています。
主要6社(ANA・JAL・スカイマーク・エアドゥ・スターフライヤー・ソラシドエア)の国内線事業に関しては、旅客数はコロナ禍前と同水準まで回復しているものの、空港使用料の減免、航空機燃料税の軽減、航空機燃料の激変緩和事業などの公租公課の軽減効果を除いた実質的な営業損益では赤字に転落しており、主に国内専業の航空会社は厳しい経営状況となっているのが現状です。

国内航空市場では、営業費用の大幅増加による必要な単価水準の上昇や需要構造の変化による高単価の旅客(ビジネス需要)の減少が生じており、2019年比では67.4%減少したと推計されています。
低価格帯は、元より時間帯や曜日による需要波動を踏まえ低需要便において主に販売されているものですが、コロナを経て、セール商品としても販売されるようになっています。これは、需要構造の変化による高単価旅客の減少等を受け、全体の収入の増加のため、空席を埋めることを意図して行われているもので、このセール販売によって確保している旅客は、各社において概ね旅客数の5~10%程度存在していると考えられています。
このような現状を踏まえ、国交省は各社からヒアリングを行った結果、5月に開催された第1回では、以下のような指摘事項がありました。
◆国内線の事業環境の不可逆的変化(ドル高円安、海外物価高、国内人件費等)を踏まえ、中長期的な視座に立ち、国内航空ネットワークのあるべき姿と、その実現に向けた方策についてしっかりと議論すべき。
◆市場原理に任せて事業再編が進み、供給量の適正化が図られるケースもあり、最初から協調・協業を進めるべきと結論づけるのは一足飛びではないか。
◆競争が激化しているからと言って、直ちに事業者間の協業・協調をするべきという議論には直結しないのではないか。
以上3点を踏まえ、国内航空のあり方としては、基本的にはこれまで同様に競争環境の下で各航空会社の事業展開がなされ、市場において調整が図られることが前提であるべきで、競争の中での各航空会社の取組によって、国内航空の利用者に対して適正なサービスが提供されることが重要との認識が示されています。
◆これまで、地域航空の分野においては、地域航空サービスアライアンス協議会が協調の取組を進めてきたが、地域航空に限らず国内航空全体で今後はさらに踏み込んだ協調が必要ではないか。
→航空会社による利用者利便の向上に資する取組について、関係法令との関係をどのように考えるべきか。

→航空会社による取組として利用者利便の向上に資すると考えられる次のようなケースについて、関係法令との関係をどのように考えるべきか。
Photo : 国交省
上記のように、需要減退路線にて、エアライン間の垣根を越えて調整を行うことなどもシミュレーションされており、コロナで環境が大きく変化したこと、人口減少が続く日本社会の問題、高速鉄道が発達しているという特別な市場環境において、今後どのような取り組みを行っていくことになるのか注目です。
以下が既報の各社ヒアリングとなります。
◇ANA ◇JAL ◇スカイマーク ◇スターフライヤー ◇エアドゥ ◇ソラシドエア
国内主要6社の国内線事業は実質的な赤字に転落し国交省は2026年5月を目安に対策をとりまとめる計画 海外の参考例として高速鉄道との協業を紹介
スカイマーク「国内線は利益なき繁忙という課題に直面」他社を含めコストに見合わない恒常的セールの抑止や燃油サーチャージの導入を提言
スターフライヤー「収入・費用の両面で経営を圧迫。将来にわたって航空事業を持続することが困難な状況」早期に国際線を再開させる方針




