スリランカ政府が、緊迫する中東情勢を受けた代替ハブとして自国の空港活用を提案した件について、エミレーツ航空およびカタール航空の両社から現時点で回答が得られていないことが分かりました。
2026年2月下旬から激化した中東地域の地政学的リスクにより、ドバイやドーハといった主要拠点の運用に支障が出る懸念が高まっています。これを受け、スリランカ政府は3月中旬、南部ハンバントタに位置するマッタラ・ラジャパクサ国際空港を、両社の暫定的な乗り継ぎ拠点として提供する方針を打ち出しました。同空港は超大型機の離着陸が可能な設備を持ちながら、長らく稼働率の低さが課題となっており、政府としてはこの機を捉えて空港の活性化と経済振興を図る狙いがありました。
しかし、提案から一定期間が経過した現在も、両社からの公式な受諾や具体的な協議への進展は見られません。当初、スリランカ側は「両社から強い関心が寄せられている」と前向きな見通しを示していましたが、実際には着陸料の減免といった優遇措置の提示も、航空会社側の慎重な判断を覆すには至っていないのが現状です。
この背景には、ハブ空港として機能させるための根源的な課題がある考えられます。同空港は滑走路こそ十分な規模を持つものの、数万人規模の乗り継ぎ客を裁くためのターミナル能力や、機内食の供給、整備体制、さらには乗務員が待機するための宿泊施設といった付帯インフラが圧倒的に不足しています。世界屈指のサービス品質を誇るエミレーツやカタール航空にとって、こうした支援体制が不十分な環境へ拠点を移すことは、運用コストやブランド価値の観点から極めてリスクが高いと判断されたものと見られます。
スリランカ政府は引き続き交渉の門戸を開いているとしていますが、航空各社は特定の代替拠点に依存するよりも、既存のネットワーク内での経路変更や安全確保を優先する構えを見せています。今回の事態は、ハブ空港の成立には地理的な優位性だけでなく、長年にわたるインフラ投資と総合的な運用能力が不可欠であることを改めて浮き彫りにしました。Photo : Emirates




