中東情勢の緊迫化が、ベトナムの航空業界に深刻な影響を与えています。2026年3月初旬に始まった米国・イスラエル連合とイランとの軍事衝突の影響を受け、航空燃料の価格が記録的な高騰を見せており、ベトナムの航空各社は運営コストの大幅な増大と、4月以降の供給不足という二重の危機に直面しています。
ベトナム民間航空局の報告によると、航空燃料の国際指標であるシンガポール市場の価格は、年初の80〜90ドル台から3月初旬には一時230ドルを超える水準まで急騰しました。現在も160〜170ドル前後という高止まりが続いており、これは平時と比較して約3倍の価格です。通常、航空会社の運航コストの30〜40%を占める燃料費がこれほど跳ね上がったことで、全体の運営コストは60〜70%増まで押し上げられており、赤字路線が増えていることが予想されています。
さらに深刻なのが、燃料そのものの供給が滞るリスクです。ベトナムは国内で消費する航空燃料の約70%を輸入に頼っており、その大部分をタイや中国などの近隣諸国から調達しています。しかし、中東情勢の影響でエネルギー確保が急務となる中、供給国側が自国内の需要を優先し、輸出制限を強化する動きを見せています。現在のところ3月末までの分は確保しているものの、4月以降の調達については不透明な状況であり、供給元から不可抗力条項の適用を受けるリスクが高まっています。
この危機的状況に対し、ベトナムの航空業界は緊急対応を迫られています。各社はすでに燃料の節約措置を講じていますが、抜本的な解決には至らず、4月以降は路線の見直しや大幅な減便も現実的な選択肢として浮上しています。航空局側は政府に対し、減税、さらには航空運賃の上限設定の柔軟化といった緊急支援策を強く求めています。
このようなリスクはベトナムに限らず抱えている状況となっており、中東情勢が不安定な状況が長引くと、航空業界は大きなダメージを受けることが予想されます。




