タタグループ傘下のエアインディアは2026年4月7日、キャンベル・ウィルソン最高経営責任者(CEO)が辞任することを発表しました。2022年の民営化という歴史的な転換期にリーダーに就任した同氏でしたが、本来の任期を1年以上残しての退任となります。
ニュージーランド出身のウィルソン氏は、シンガポール航空グループで培った手腕を期待され、エアインディアの立て直しに着手しました。「Vihaan.ai」と名付けた5カ年計画を主導し、エアバスとボーイングへ計470機という歴史的な規模の機材発注を断行。さらに、傘下のLCC統合やヴィスタラとの合併など、バラバラだった組織の一本化を力強く進めてきました。
しかし、その道のりは平坦ではありませんでした。2025年6月にアーメダバードで発生したAI171便の墜落事故は、新生エアインディアの信頼を大きく揺るがす事態となりました。この事故を受け、インド航空当局からは安全管理体制の不備を厳しく指摘され、組織の文化改革の難しさが浮き彫りとなりました。
また経営面においても、2026年度の赤字額が予測を大幅に上回る約2,000億ルピーに達するなど、厳しい局面に立たされていました。燃料価格の高騰に加え、国際情勢の悪化に伴う運航コストの上昇が、経営再建の足を引っ張る形となりました。
ウィルソン氏は声明の中で、組織の基盤整備が整い、2027年から大量の新機材が導入される「第2フェーズ」を前に、新しいリーダーにタスキを繋ぐことが最適であると述べています。ただ現地メディアなどは、この辞任は事故や業績不振の責任をとった「引責」である側面が強いとしています。
後任のCEOが選出されるまでは引き続き職務に留まる予定ですが、インドを代表するフラッグキャリアとしての誇りを取り戻す重責は、次の世代へと引き継がれることになります。なお同国のインディゴは、元ブリティッシュエアウェイズCEOを招聘するなど大物の就任を予定しており、エアインディアにおいても資金力を背景に業界の大物を招聘することが予想されます。Photo : Air India




