アメリカ政府と中国政府による、両国の航空機をめぐる駆け引きが続いており、トランプ政権後のバイデン政権がどのような対応を取るのか注目されています。
周知の通りトランプ政権は、対中国政策として強硬姿勢をとり続け、12月21日には安全保障上の懸念を理由に、中国の航空関連業などの58社をアメリカ企業との取引を制限することを発表しました。
当初このリストには、B737やA320と競合する機種となるC919を開発するCOMAC(中国商用飛機有限責任公司)も含まれるとの報道がありましたが、実際にはリストに含まれることはありませんでした。
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C919は、国産ジェットと言われながらも、多くのシステムなどは、アメリカ企業のものを採用していることから、仮に制限対象となった場合は、開発に大きな遅れが出ることや、混乱が生じることが予想されていました。
これに対し中国政府は、対抗策としてB737MAXの運航再開の認可を交渉の切り札にしているとみられ、これが影響し、COMACがリストに含まれなかった可能性が指摘されています。なおB737MAXは、世界的に運航再開が進められていますが、中国当局は、自国のエアラインが多くの対象機材を保有しているにも関わらず特段目立った動きは見せておらず、今後はバイデン政権誕生後に動きがあると推測されます。
今後バイデン政権が、現在の措置より踏み込んでCOMACをリストに追加した場合は、長期的に見れば中国の航空業の成長を阻むことができますが、短期的にみれば、自国のボーイングなどの収益を悪化させる事になり、当面これらの航空機は、政治的理由により影響が出ることが予想されます。
果たして今月誕生するバイデン政権は強硬姿勢を維持するのか、それとも軟化させるのか、あるいは傍観か、今後が注目されます。Photo : COMAC
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